人間っていい事あると些細なことで怒らなくなるもんなんだな。

俺は初めて知ったぜ。


なんせ俺はめんどくさがりや。


いちいち怒るのもめんどくせぇ。


めんどくせぇことはやらない主義。


だけど・・・。


あの日から俺はめったなことがない限り、怒らなくなった。


だって今、サイコーに幸せ感じちゃってるし。


些細なこと(例えばナルトやキバにからかわれたり)で怒らない。


寛大な男に成長しちゃったぜ。


・・・・・・・。


もしかして・・・・。


今の俺って・・・・。


イケてる派?



















誰も気付かない。

ささやかな変化。

それはシカマルが怒らなくなったこと。

元々の彼の性格からして怒ることはめったになかったが、ムッとすることはあった。

そういうときは余裕な顔をして相手の痛いトコロを言葉で突く。

それがシカマルの仕返し方法。

が、最近はそれすら、ない。

なぜなら・・・。

「シカマル!」

任務が終わって帰宅途中のシカマルを誰かが呼び止めた。

「おぉ、。」

の姿を確認すると一瞬にやけた顔を締め直すシカマル。

「任務終わった?一緒に帰ろう?」

「めんどくせぇなぁ・・・。」

二人は一緒に歩き出す。

1ヶ月前から二人は付き合い始めたのだ。

シカマルと同じ中忍。

シカマルがまだまだひよっこ中忍だったときにいろいろ教えてくれたのがだった。

教えてもらっているうちに気付けば・・・・という展開だ。

から告白された日の夜、シカマルは興奮のあまり寝れなかった。

お互い中忍で、任務もある。

なかなか二人でゆっくりできない。

だからか、はたまにこうしてシカマルを待っててくれる。

そりがまたうれしいシカマル。

今日の任務の失敗とか出会った人とのおもしろ話をしていると、

気付けばもうの家の前。

「じゃ・・・またね。」

「おう。」

シカマルと手を上げて来た道を戻ろうとする。

「あ、シカマル!」

「んあ?」

呼び止められて振り返る。

「あのさ・・・今度の休みっていつ?」

「んー・・・緊急がなければ明後日。」

「私もその日、休みなんだけど・・・・遊びに行っていい?」

「へ?」

「いっつも任務の帰りにしか会えないでしょ?だからたまにはゆっくりしたいなぁって。」

「お、おう。そーだな。」

「じゃ、明後日のお昼頃行くね?」

「わ、わかった。」

「じゃね!」

「おう。」

はうれしそうに家の中に消えた。

シカマルは・・・・。

呆然と立ち尽くしていたが、しばらくしてフラフラと歩き始めた。
































翌日の任務はナルトたち第7班と合同だった。

里を流れる大きな川の掃除。

みんなが真剣に空き缶等を拾っている中、シカマルはぼんやりしていた。





が来る・・・・が来る・・・。





自然と顔がにやける。

「なーにニヤニヤしてるの。」

「うわっ!」

「さっきから一人で楽しそうね。」

「驚かすなよ!」

いつから目の前にいたのかカカシのドアップにシカマルは驚いて1歩下がった。

「これ、今日中に終わらないと明日もだから。」

「げっ・・・・。」

「シカマルにとって明日は大事な日なんでしょ?もっと真剣にやらないとだめでしょ。」

「そーなんだよなぁ・・・・っておい!なんで知ってるんだよ!」

「上忍をあまく見ないでね?中忍。」

カカシの言葉に川辺にいたアスマを見る。

アスマも意味ありげな笑顔をシカマルに向けている。

「・・・っち!めんどくせぇ・・・・・。」

シカマルは顔を赤くしてカカシから離れようとする。

「待て待て。」

去ろうとするシカマルの首をガシッと掴んだせいでシカマルは派手に後ろにこけた。

「・・・ってぇぇ!」

「シカマルー!ちゃんとやんなさいよぉ!」

「わぁってるよ!」

いのの怒鳴り声についつい怒鳴ってしまう。

「君、持ってるの?」

「は?何を?」

「まさか・・・彼女に用意させるわけないよね?」

「だから何を!」

シカマルが怒鳴るとカカシはしゃがみ、シカマルの肩に手を置いて何かを差し出した。

「・・・・・!!!!!!」

シカマルの顔が一気に赤くなる。

「これは男のマナーだから。」

「ちょっ・・・!!俺達、付き合ってまだ1ヶ月だぞ!」

「でも、彼女は何か進展を求めて家に行くって行ったんじゃないの?」

「進展って・・・!」

「まぁ、明日、コレを使うかどーかはお前が決めるとして・・・。

 彼女になんでもやってもらってちゃあ男じゃないよ?」

「・・・・・・・なぁ・・・・。」

「何?」

「アンタだったら・・・・付き合い始めて・・・・どれぐらいでコレ、使った?」

「んー・・・どんなに遅くても2週間・・・以内には使ってたねぇ。」

「・・・・マジかよ。」

「ま、俺たちは大人の付き合い方してるから。」

カカシは爽やかな笑顔を残してアスマの方へ歩いていく。

何かをアスマに言い、アスマがシカマルに自分を指し、人差し指を上げた。

「・・・・・・!!!」





アスマは1週間で・・・・コレ、使ったのかよ・・・・。





手の中に納まっているソレをじっと見る。

途端にまた顔が赤くなる。


















それからシカマルは人の3倍は働いた。







































「こんにちわ。」

「おう。」

お昼頃、が来た。

「ま、上がってくれや・・・。」

「お邪魔します。」

が家に入った。

「今、両親でかけてっから・・・・気ぃ使わなくていいぞ。」

「はーい。」

二人はシカマルの部屋に向かう。

「あ、きれいにしてあるんだぁ。」

シカマルの部屋を見てが呟く。

「お前が来るっつーから掃除したんだよ。めんどくせぇ・・・・。」

朝5時に起きてバタバタと掃除をしていたシカマル。

当然、親がでかけるように仕込んだのもシカマル。

「じゃあ、襖とか開けたら・・・。」

「雪崩が起きるぞ。」

「そこまでひどくないでしょぉ。」

「いや、ひどい。」

シカマルの真剣な顔にがケタケタ笑っている。

「これ、作ってきたの。食べて。」

が持ってきたかわいい紙袋を差し出す。

「・・・・・食えるの?」

「・・・・・分かんない。」

中からはいちおうクッキーらしくものが出てきた。

シカマルは知っている。

が料理が出来ないことを・・・・。

「いちおー朝試食してきて今のところ変化ないから・・・大丈夫だと思う。」

「じゃ、安心だな。」

「それって何気にひどくない?」

「そう思ってるなら料理の腕、上げろよ。」

「はーい・・・・。」

他愛も無い話をしたせいか、シカマルのさっきまでの緊張がなくなった。













2時間が過ぎた。

二人はシカマルの昔の写真を見て盛り上がっていた。

「あー!なにこれぇ!」

がナルトとシカマルがアカデミーで変なポーズをしている写真を見て爆笑している。

「これの他にもいろいろポーズ試したんだけどよぉ、これが一番笑えたんだわ。」

「へぇ、楽しそう。」

「楽しかったぜ。授業は聞いてなかったけどな。」

「だめじゃん。」

「そんな俺がいまや同期の中で最初に中忍だぜ。」

「人間って思いもよらないもんねぇ。」

「言うようになったじゃねぇかよ。」

の頭を小突く。

と、同時に1枚だけ写真が落ちた。

「あ・・・ごめん。」

がそれを拾おうとした。



























・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!

























「拾わなくていい!」

シカマルはものすごい速さでより先に写真を拾った。

「えー、今の反応。絶対おかしい。」

「見なくていいから。」

シカマルは写真をポケットにしまう。

がにや・・・・と笑った。

「みぃせぇてぇぇぇぇぇぇぇ♪」

「うわっ!やめろ!バカ!」

「みぃぃぃぃたぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ♪」

はシカマルに飛びつき写真をポケットから出す。

「見るな!」

シカマルが写真を奪い返す。

「ムムム・・・・・。絶対見る!くらえっ!」

はシカマルの脇をくすぐり始めた。

「や、やめ・・・!コノヤロ・・・!」

「きゃあっ!」

シカマルは飛び掛ってくるの腕を引き寄せたと同時に体勢を崩して倒れる。

その上にが倒れてきた。

「ってぇ・・・・。」

「シカマル!大丈夫っ!」

に潰されたシカマルは顔をしかめる。

がすぐに腕に力を入れ体を上げた。

「・・・・・・!」

「・・・・・・・・・!」

眼が合った。

側から見ればがシカマルを押し倒している図。

「・・・ごめ・・・・。」

が顔を赤くして体をどける。


























「でも、彼女は何か進展を求めて家に行くって行ったんじゃないの?」






















突然カカシの言葉が浮かぶ。

シカマルはの腕を引き寄せ、を逃がさない。

「シ・・・・カマル・・・・?」

「・・・・・・・。」

不安げなの眼にシカマルは何も言わずの頭に手を回す。

「・・・シカ・・・!」

そっと引き寄せ唇を塞ぐ。















やべぇ・・・・・とまんねぇかも・・・・。
















シカマルはそのままを抱き寄せ体を入れ替えてを下にする。

は顔を真っ赤にしながらも眼を閉じている。












アレは・・・・あの引き出しの中・・・・・。












眼を開けてチェックを入れ、唇の位置をずらした。

「シカマ・・・・!」

今度は首筋にキスされ、はビクッと反応した。

「ちょ・・・・シカマル・・・・!」

懸命に止めようとするだったが、男のシカマルの力には勝てない。

「・・・・・!」

の体が大きく反応した。

シカマルが服の上から胸に触れたのだ。

「シカマル・・・・っ!やめて・・・!」

の声はシカマルに届いていない。

「シカ・・!・・・話を・・・・聞けぇぇぇぇ!」

「ぐほっ・・・・!!!!」

暴れたの足がシカマルの腹にヒット。

「・・・・・んだよ!」

「なんで辞めてくれないのよ!」

の眼には涙が溜まっていた。

「・・・・・なんでって・・・・。」

「私、そういうことをするために遊びに来たんじゃない!」

「お前・・・・男の家に来たらこういうことされるって思わないのかよ!」

「シカマルなら大丈夫って思ったんだもん!そりゃ・・・付き合って1ヶ月たったのに・・・。

 キスもしてないから・・・多少期待はしてたけど・・・。」

「だったらいいじゃねーかよ。」

「よくない!その・・・順序というか・・・時期というか・・・ムードというか・・・。」

「・・・なんだよ、それ・・・。」

シカマルはだんだんイライラし始めた。

「やるこたぁ同じだろ!」

「でも全然違う!」

「・・・・ったく、めんどくせぇ・・・・。」

シカマルの言葉には動きを止めた。

「やるこたぁ同じなのに、順序だぁムードだぁ・・・。

 なんで女ってそーゆーことに拘るんだよ・・・。めんどくせぇ・・・・。」

「・・・・今・・・・なんて言った?」

の低い声がぽつ・・・と聞こえた。

「今・・・・あんた・・・・めんどくせぇ・・・って言ったの・・・・?」

「言いました、言いました!めんどくせぇ!」

売り言葉に買い言葉。

「もぉキレた!マジでキレた!」

は立ち上がった。

「前々からずっと我慢してたけどさぁ!」

の迫力にシカマルは少しびびっている。

「あんたのその『めんどくせぇ』ってかなり感じ悪いよね!

 何か言えばすぅぐ『めんどくせぇ』。

 私と付き合ってから何回それ言ったと思う?

 それ言われる度に私がどれだけ傷ついてるか、あんた、分かってるの?!」

「しょ、しょーがねぇじゃん・・・・口癖なんだし・・・・。」

「口癖だからって人を気分悪くさせるなんて最低!

 そんなに私と一緒にいるのがめんどくせぇんだったら別れてあげるわよ!」

「お、おい!・・・・!」

シカマルは呼び止めたものの、はそのまま帰ってしまった。

「・・・ったく・・・なんだよ・・・・。めんどく・・・・。」

ここで言葉を止めた。























別に・・・と一緒にいることがめんどくせぇわけじゃないのに・・・。



















むしろ、一緒にいてうれしくて・・・。


























いつもの自分じゃなくなっちまいそうで・・・。




























それを隠すのがめんどくせぇだけで・・・。















































でも・・・・。
























一緒にいて言われたら・・・・。
























傷つくよな・・・・・。




























シカマルは事の発端となった写真を手に取った。

そして・・・・家を飛び出した。







































!」

シカマルは前を一人で歩くを呼んだ。

が、は反応せずそのままズカズカ歩いている。

「おい、待てって・・・・!」

「触んないでよ!」

の腕をつかもうとしたシカマルの手をが振り払う。

「てめぇ・・・・。」

明らかに怒ったシカマル。

「俺から逃げられると思ってんのかよ!」

同時にシカマルの影が伸びる。

まさかこんなときに術を使われると思っていなかったはすんなり捉まってしまう。

「卑怯だ!」

「卑怯だろぉとなんだろぉと、逃がさねぇよ。」

「・・・・・。」

シカマルの真剣な目には何も言えなくなった。

「・・・・めんどくさくないぜ。」

「・・・・・・。」

「お前と一緒にいて・・・・めんどくせぇなんて思ったことなんか1度もねぇ・・・。

 ただ・・・・。」

「ただ?」

「一緒にいると・・・・その・・・・浮かれちまって・・・・。

 それは俺的にかっこわるくて・・・・隠したくて・・・。

 それがめんどくせぇわけで・・・。」

斜め下を見ながらポツポツ白状する。

「でも、口癖なのは確かで・・・。」

「じゃ、言ってよ。」

「は?」

「私のこと、どれぐらい好きで、一緒にいるとどれぐらい浮かれるか。」

「バッ・・・!・・・そんなの・・・言えっかよ・・・。」

「・・・・・・。」

がにらむ。

「・・・・はぁ・・・・。」

シカマルはため息を付き、持ってきた写真をに見せた。

「これ・・・・。」

は目を丸くした。

写っているのは・・・・

まだシカマルと会ったばかりの頃の写真。

「いつの間に・・・。」

「・・・・会ってすぐ・・・隠し撮りした。」

「変態。」

シカマルがグッ・・・・と言葉を詰まらせる。

「つ、つまり、そういう柄にもねぇことしたくなるぐらいお前が好きで、

 さっきみたく暴走するぐらい自分が見えなくなっちまうってことだよ!」

顔を真っ赤にして叫ぶ。











































「・・・・術、解いてよ。」

「・・・・やだ。」

「解いて。」

「だめだ。」

「なんでよ。」

「・・・・お前が・・・・逃げるから・・・・。」

「逃がしたくないんだ?」

「・・・・あたりまえだろ。」

「・・・・でも、解いて。」

「・・・・・絶対やだ。」













もう・・・・完璧に・・・・嫌われたのか・・・・?











「解いてくれないと・・・・そばにいけないじゃん。」

「・・・・・!」

の言葉にシカマルはの顔を見た。

「解いてくれないと・・・シカマルに触れられないよ。」

ふわり・・・とが笑っている。

シカマルが術を解くと同時にはシカマルの胸に飛び込んだ。

「・・・・あんたって・・・・バカだね。」

「・・・うっせーよ・・・。」

「カッコわる・・・・。」

「・・・・・しゃぁねぇだろ・・・・。」

「スケベ。」

「・・・・さっきは悪かった・・・・。」

「・・・・もう少し・・・・。」

「・・・え?」

「もう少ししたら・・・・いいよ。」

「・・・・マジかよ・・・・・。」

「マジだよ・・・・。それまではこれで我慢してね?」

は自分から・・・・・そっとキスをした。

「・・・・余計我慢できねぇっつーの・・・・。」

「じゃ、もうしない。」

「それはもっと我慢できねぇ。」



























ゆっくり進もう。




























二人のスピードで。





























焦ることなんてないよ。


































時間はたっぷりある。































二人が一緒にいる限り。


















シカマル、暴走しました。

だってシカマルだって男の子♪

さん、気をつけてください!

もしかして、シカマルに隠し撮りされてるかも・・・!