なぁ、

俺、もう戻れないところまで来ちまった。

・・・もう・・・・会えねぇかも・・・。





約束、守れなくて・・・ごめんな。















































消え入る月を見上げて、そして背を向ける















































大蛇丸の元に来てから、もうすぐ3年。
俺は求めて止まなかった「力」を手に入れることができた。


だが、まだアイツには勝てない。


もっともっと、「力」が必要だ。
例えこの命が消え去ることになったとしても・・・・。





「サスケ!」





目の前にが現れた。
いつも俺に、俺だけに向けてくれる笑顔で。



それが幻想だと分かってる。
いつもそうだ。
ここまで考えたとき、は現れる。


まるで、俺に思いとどまらせるかのように。






何度、思い出したことか。
と過ごした日々を。


なぁ、
お前を思い出さなかった日は1日としてなかった。
俺の復讐をやり遂げたら、の元に帰ると決めていた。


だが・・・・それじゃ・・・だめなんだ。
生き残るのを前提で戦うより、死を覚悟して戦ったほうが・・・・。











「サスケ、どうしたの?」












目の前のが心配そうに俺を見てる。


「なんでも・・・ねぇよ・・・。」


つい口から出た言葉に、俺は苦笑した。
見上げれば、あの最後の日に見た月。
俺との約束を見ていた、消え入りそうな月。



失いたくない。
復讐の先にある、と過ごす未来を。




今頃、の元に届いただろうか?
思いとどまらせてくれた感謝を込めて毎年この日に送ってるあいつへの贈り物。
何も書けなかった手紙と一緒に。


、今年も俺は生きていたぜ。































































サクラとナルトが俺を見上げている。
3年前のあの日まで共に過ごした・・・・仲間。



ナルトはどうしてあの時自分を殺さなかったのか、と聞いてきた。
俺はきまぐれだ、と言った。














そう・・・きまぐれ。
きまぐれに・・・・殺さなかった。


きまぐれで・・・・断ち切れなかったつながり。






違う。






きまぐれなんかじゃない。
本当は断ち切りたくなかったんだ。


もし、本当に断ち切ってしまったら。
俺はもう本当に里に戻れない。
みんなが俺を許してくれたとしても、俺が自分を許せない。


に会わす顔がない。



俺は意地っ張りでへそ曲がりの・・・ウスラトンカチだ。














「オレの気まぐれでお前は命を落とすんだぜ。」
「仲間一人救えねぇヤツが火影になんてなれるかよ。」




仲間。
こんな俺をまだ仲間だと言うのか。


一瞬、揺れた。
心が、覚悟が。


戻れるなら、戻りたい。
あの頃に、の元に。






「フン。」


ナルトの言葉を鼻で笑い、手にしていた刀を振り下ろした。




目の前に現れたが。
泣いていた。































なぁ、
俺、もう戻れないところまで来ちまった。
・・・もう・・・・会えねぇかも・・・。


約束、守れなくて・・・ごめんな。





本当は・・・・の隣で笑っていたかった。


もうあの消え入りそうな月を見上げることはないだろう。
俺は消え入る月に背を向ける。



俺は明るい未来よりも、復讐を取った。

















はい、サスケ第2弾です。
「消え入る月に照らされて」の続編です。
時間的にほぼ同時期と思ってください。
サスケが見上げた月と、彼女の見上げた月は同じ月だった、と。
なので、BGMを同じにしてみました。


私、単行本派なんですよ。
ジャンプは買わない。
今日34巻買って、勢いに任せて作りました。
ほぼ原作沿いです。
ネタバレ、ありすぎ。

ネタバレ嫌いな人はごめんなさい。