今日、俺は単独任務についている。



事態は重大。



これは俺の人生の中で一番にランクインすると思われる任務。



それはある人物の尾行と護衛。



しかも、護衛されている人物に気付かれてはならない。



めんどくせぇ・・・。



だけど、なんとしてもやり遂げなければならない任務。



奈良 シカマルの名にかけて・・・。










☆恋は盲目☆







ことの発端は昼過ぎに起こった。

俺はチョウジと一緒に街でふらふらしていた。

先日、砂隠れの里から使いとしてテマリが来ていた。

3日間の滞在に俺とチョウジが護衛としてついていた。

前の木の葉崩しにテマリは絡んでいる。

だから、恨みを持った輩がいるかもしれないから、その護衛。



めんどくせぇ・・・・。



なんとか3日間任務を務めた俺とチョウジはツナデ様から1日の休暇をもらえた。

休暇をもらったはいいが、やることがねぇ。

つーか、する気もねぇけど・・・。

んで、仕方なく家に遊びに来たチョウジとでかけることにした。

・・・家にチョウジを入れたら家の食いモンが全滅しそうだから・・・。

でかけるってなっても、やることがない。

ふらふらしているだけだ。

「あぁあ・・・。やることねぇなぁ・・・。」

「シカマルはやることあってもめんどくせぇって言って終わるじゃない。」



・・・・・お前は菓子でも食ってろ。



空を見上げれば雲が気持ち良さそうに流れていく。







俺も流されてぇ・・・。






「ねぇねぇ、シカマル。」

隣で菓子を食ってるチョウジがどっかを見ながら俺を呼ぶ。

「なんだよ。」

「アレってシカマルの幼馴染のじゃない?」

チョウジの言葉になんとなくチョウジが見ているほうへ視線を移す。

「・・・・・・・・。」

俺はを見て呆然とした。




がいる。




いや、それ自体は別にいいんだよ・・・。

は俺の家の隣に住んでるんだから、街にいてもおかしくはない。

ただ・・・。

「あ、シカマル。」

俺に気付いたは笑顔で俺に手を振ってゆっくりと近づいてきた。

一緒にいる男も・・・。

「紹介するね。」

は俺が見たこともないような笑顔で隣の男に話しかける。

「こっちがさっき話してた幼馴染のシカマル。 こっちがシカマルの友達のチョウジ君。」

「こんにちわ。」

男はすんげー笑顔で挨拶してきやがった。

「で、この人は君。」

「こんにちわ。」

「・・・・どぉも。」

俺とチョウジはってヤツに挨拶をする。

「二人は今日はお休みなの?」

「あ、うん。やっと3日間の任務が終わってツナデ様がお休みくれたんだ。」

チョウジはボリボリ菓子を食いながら器用に話している。





俺は・・・それどころではなかった・・・。





の関係が気になってしょうがない。

「そういうは何してるの?」



でかした!チョウジ!!



耳がダンボになる。

「何って・・・その・・・・。」



なぜ顔を赤らめるんだよ!



「前に会ったときに僕からデートに誘ったんだ。」



てめぇにゃ聞いてねぇ!




・・・・え?

今、こいつ、なんて言いやがった?




「へぇ、デートかぁ。楽しそうだね。」



チョウジ、ちょっと黙ってろ。



ちゃんって一緒にいて楽しいよ。」

「そんな・・・。」



は顔を冷やしてその赤らんだ頬をどうにかしろ。



「僕も何度か遊んだことあったけど、っておてんばだから見てて飽きないよね。」

「へぇ、そうだったんだ。知らなかった。」

「チョウジ君!」



おい・・・勝手に話進めてんじゃねぇよ・・・。



「じゃ、僕たちはそろそろ・・・。」

「あ、映画始まっちゃうもんね。」

ばいばい・・・と、が手を振っている。

チョウジが手を振り替えしている。

「シカマル?」

さっきから黙ったままの俺の隣でチョウジが菓子を食っている。

いや、そんなことはどうでもいい。




今、は何をしているって言った?




、デートだって。」




これからどこへ行くって言った?




「これから映画見るらしいよ。」

「・・・・・お前、超能力でもあるんじゃねぇか・・・?」

「だって、シカマル。知りたいんでしょ?」



・・・・確かに。



「な、なぁ、チョウジ。」

「なぁに?」

「俺たちもすることないし、映画でも行かねぇか?たまには奢ってやるよ。」

「いいよ。映画館で食べるポップコーンってなぜかおいしいもんね。」




・・・・へいへい。

ポップコーンでもなんでも買ってやるよ・・・。










正直に言う。

俺はを幼馴染と思ったことは1度もない。

女として・・・・。

俺はが好きだ。

めんどくせぇが、認めてやる。

だから、今回のことは全く気に入らない。






















こうして俺の超極秘任務(ただの尾行)が始まった・・・。

ったく、めんどくせぇ・・・・。














二人の後を追って俺たちも映画館に入る。

二人が座った席をちゃんと見える位置に席を取る。

しばらくすると暗くなり映画が始まる。

・・・ちっ!ラブストーリーかよ・・・。

チョウジは何気に内容が気になるらしく、真剣に見入っている。

だけど、俺は二人が気になってそれどころじゃない。

椅子と椅子の間から二人をしっかり見張る。








内容が進み中盤(多分、時間的に・・・)まで進んだ。

「・・うっ・・・うっ・・・・うっ・・・。」

どうやら感動する内容だったらしく、チョウジが泣いている。

「ほらよ。」

持っているハンカチをチョウジに渡した。





さて、と。

二人は・・・っとぁ?!

!てめぇ!

てめぇの汚ねぇハンカチなんかに貸してんじゃねぇよ!

も受け取ってんじゃねぇ!

あ、バカ!

それ以上に近づくんじゃねぇぞ!

だからだめだって!

おい!

ったく、めんどくせぇ!

なにか二人の間に壁となるべきものをつくらなくては!

いや、壁なんか作ってるヒマなんかねぇ!

ごみでもなんでもいいからに威嚇代わりに投げてやる!




「シカマル。はい。」

チョウジが何かを差し出した。

それを受け取った俺は確認もしないで二人の間に投げた。

何も気付いていないの肩に手を回そうとしているの顔面すれすれにそれは飛んでいく。

咄嗟には顔を引いた。



よっしゃぁ!



俺はガッツポーズをとった。




・・・で、俺は何を投げたんだ?



俺の投げたと思われるクナイは今画面にドアップにされているヒロインの顔にホクロを作っていた。

「・・・・・チョウジ・・・。」

「だってシカマル、何か探してたでしょ?」



そーだけどよぉ・・・。

なにもクナイを渡すなよ・・・。











映画館を出た二人はそのまま喫茶店へ。

でも、俺たちは入らなかった。

なぜならば・・・。

「僕も何か食べたかったな・・・。」

チョウジと一緒に入ったらいくら金があっても足りねぇ・・・。

二人は俺たちに気付いていない。

店内の二人はすんげぇ楽しそう。





ちくしょぉ・・・。

って、おい。

顔、近づけすぎなんだよ!

が引いてるじゃねぇか!

あぁ?!おい!何手なんか握ってんだよ!

な、なんとかしなければ!

でも、またクナイなんか投げたらガラスが割れて大惨事になる!

ど、どうればいいんだぁ!!!




「カゲマネの術使えば?」






おぉ!そうだった!

カゲマネの術!

へへぇん。

ザマーミロ!

俺のカゲマネの術はガラスなんか気にしねぇ!

これでてめぇは動けねぇ!

ついでにこんなポーズをさせてやる!

とりゃっ!

どーだ!

これもやってみるか?

ぶっ・・・・(≧ε≦)

まぬけな格好だぜ。

てめぇにはこれぐらいがお似合いだぜ。






・・・・って、俺は何をやっているんだ?





「だって、シカマル。なにかしたそうだったじゃん。」




そ、そうだけどよ・・・。

一般人に術を使うことはないだろ・・・。

いや、使ったのは俺だけどよ・・・。




















喫茶店から出た二人は大きな公園へと向かった。

当然俺たちも付いていく。

夕暮れとなった公園にはもう子供たちはいない。

二人はベンチに座った。

俺たちはベンチから少し離れた草むらにいた。

「僕、お腹空いてきちゃったよ・・・。」

チョウジはたっぷり・・・いや、ぽっちゃりとした腹を擦っている。

手持ちの菓子がなくなったみたいだ。

「ねぇ、シカマル。お菓子買ってきていい?」

「あぁ、俺はここにいるからな。」

「わかったぁ。」

チョウジの後姿を見送って視線を二人に戻した。

が・・・・。




いない!

あいつら、どこに行きやがった!

俺は草むらから飛び出して走り始めた。





でも、この広い公園。

どこを探せばいいのか・・・。

こんなときにヒナタかキバがいてくれたら・・・!




「シカマルゥ。」

後ろからチョウジが呼んでいる。

ったく、今はそれどころじゃないんだ!

を見失っちまっ・・・・ヒナタ!

「なんかシカマルが探し物してるっぽかったから、偶然会ったヒナタ連れてきたぁ。」

「こ・・・こんばんわ・・・・シカマル君・・・。」

「よし!ヒナタ!ビャクガンだ!」

「・・え・・え・・・?」

「これぐらいの身長で髪型がこんな感じの女と、

 これぐらいの身長できざったらしい顔つきをした男の二人を探してくれ!」

「う、うん。ビャクガン!」

俺の気迫に負けたヒナタは理由を聞かずにビャクガンを使ってくれた。

「・・・あ!」

「どうした!」

「たぶん・・・この二人だと思うんだけど・・・。」

「いたか!」

「なんか・・・女の子が男の子に木に押さえつけられてる・・・。」

「どっちの方角だ!」

「こっち・・・。」




・・・っち!

俺が探してた方向と逆じゃねぇか!

見つからなねぇはずだ!

「ヒナタ、チョウジ!サンキュー!」

それだけ言って俺は走り出した。




ちくしょぉ・・・!

に変なことしたらぜってぇぶっ殺してやる!

忍びをなめんなよっ!







チャクラを足にためて加速する。








どこだ・・・・?

どこだ・・・・?





いた!






俺の目に飛び込んできたのは嫌がるが無理やりキスしようとしているところだった。

「おいっ!」

俺は迷わずの肩をつかみ、から引き離しの顔面に拳を一発かました。

「シカマル!」

泣きそうな顔をしたが俺をみてびっくりしている。

、こっちにこい!」

の手をひっぱり、自分の背後に移動させた。

「・・って・・・。なにすんだよ!」

は殴られた唇の端から血を流しながらヨロヨロと立ち上がり俺をにらんでいる。

「ばーか。男っつーのは女を守るもんなんだよ。襲ってどーする。」

「はっ!何を意味の分からないことを・・・。」

「てめぇ、今を襲ってたじゃねぇか・・・。」

「何を言ってるんだ。僕はちゃんとの同意を得て・・・。」

チラッとを見ると、は勢いよく首を横に振っている。

「同意、してねーみたいだけど?」

「今日のデートにオッケーした時点でこうなることは分かっていたんだろ?

 それなのに、それはないんじゃないか?」

「あれはむしゃくしゃしてて・・・!」

は後ろで俺の服をぎゅっとつかんだ。

「・・・だとよ。

 つまり、おめぇは単なる暇つぶしだ。」

「んなっ!」

の顔が怒りでみごとなトマトに変化する。

「・・・っくしょぉ・・・・!」

「おっと、下手に攻撃しないほうが身のためだぜ?

 こう見えても俺、中忍だし?」

「・・・・っくっ!」

はすごすごとその場を去ろうとした。

「あ、ついでに言っとくけどよぉ・・・。」

俺が言うと、は立ち止まってこっちを振り返った。

「これから先、に何かしてみろ。

 俺が許さねぇからな・・・。」

殺気をこめてにらんだら、は慌てて走って逃げ出した。

ああいう男って軽く威嚇すれば何もしないで逃げるもんなんだよな。

「・・・ふぅ・・・。」



ったく・・・・疲れた・・・。




「シカマル、ごめんね。ありがとう。」

が後ろから謝ってきた。

「めんどくせぇことに巻き込まれたもんだぜ・・・。」

「・・・ごめん・・・・。っていうか、なんで私がピンチだってわかったの?」








・・・・・それは聞くな。








「そ、そんなことより、なんだよ。

 八つ当たりであんなヤツのデートをオッケーしたって・・・。

 だからこんなめんどくせぇことに巻き込まれるんだろぉが。」

頭をぽりぽりかいた。

別に痒くはないんだけど・・・くせだ。

「それは・・・・シカマルが悪いんじゃない・・・。」






へ?俺?






「だいたいシカマルが・・・・!」

「俺がなんだよ・・・・。」

「・・・・・シカマルが女の人と楽しそうにしてたから・・・・。」







は?女?







「ちょっと待てよ・・・。言ってる意味がわかんねぇよ。」

「・・・・シカマル、前に女の人と一緒に街を歩いてたじゃない。

 だから、私も・・・って思って・・・。」

「それ、いつの話だよ。」

「つい最近だよ! 背の高い金色の髪をした人!」








背の高い・・・・金色の髪・・・・・?

もしかして・・・・。






、その女って、どこの里の額当てしてた?」

「砂・・・・。」






ビンゴ。








「あのなぁ、・・・。」

ため息がでちまったよ・・・。

「そいつはテマリって言って砂隠れの里の使いとしてここに来てたんだよ。

 前のこともあるから護衛として俺とチョウジが任務についてた。

 1日部屋に監禁してるわけにもいかねぇから観光がてら街を案内してただけだ・・・。」







のやつ・・・。

めんどくせぇ誤解をしてやがるぜ。









「でも、いのちゃんに聞いたら「確かに怪しい」って言ってたもん。」






もんって・・・。

そんな可愛らしく言ってんじゃねぇよ。

それにしても、いののヤツ・・・。

にとんでもねぇこと吹き込みやがる・・・。

今度とっちめて・・・・。

いや、やめとこう。

後がめんどくせぇ・・・。







「だから、テマリとは何もなかったし、この先だって何もない。

 めんどくせぇこと言わすなよ。

 てか、なんでそんなことでお前がキレるんだよ・・・。

 それじゃまるで、お前は俺のこと・・・。」

ここまで言ってもう言葉が出てこなかった。

の顔がみるみる赤くなっている。

「・・・え・・・?マジ?」

つられて俺も顔が赤くなるのが分かる。

「・・・・シカマルが鈍感なんだよ。 いのちゃんとチョウジ君はとっくの昔に気付いてたのに・・・。」

が怒ったように言う。







ちょっと待ってくれ・・・。

俺はこう見えても観察力と分析力には自信がある。

いつも見ていたのことはなんでも分かるはずなのに・・・。






「自分のことには全く疎いんだから・・・。」



呆れたようにが笑った。

「で、シカマルは?」

「へ?」

「シカマルの気持ちは?」

「・・・・・と・・・・同じ・・・だ。」

「それじゃあわかんないよ!ちゃんと言ってよ!」

「だぁぁぁぁ!そんなめんどくせぇこと言えるかよ!」

「ひっどぉぉぉぉい!!!」

怒ったは手を振り上げて殴りかかってくる。

「気持ちを伝えることをめんどくさいで済ますなぁ!」

「おっ・・ちょ・・・・マジで痛いって・・・!」

「知るかぁぁぁぁ!」






コンニャロォ・・・。







俺は殴りかかってくるの手をつかんで引き寄せた。

バランスを崩して倒れそうになるを受け止めてそっとの頬にキスをする。

「・・・・・!」

「ま、こんなところだ。」

つかんだままの手に力が入る。

「だから、もう他の男の誘いなんか受けるなよ・・・。」

「・・・ん・・・・。」


手をつないだまま、俺たちは隣同士にある自分たちの家に帰っていった。














数日後。

任務がない日は二人で会うようになっていた。

が、今日はなぜかチョウジといのもいる。

4人で公園にいた。

「よかったわねぇ、。心配してたのよぉ?」

「うん、ありがと。」

めぐみは頬を染めて笑っている。

「ほぉんと、シカマルって頭いいわりには鈍感で困るわよねぇ。」





うっせーよ・・・。






「ついでに言うと、シカマルってすっごくヤキモチ焼きだよね。」

チョウジがつぶやいた。

「へ?なんで?」

いのとはきょとん・・・としている。






おい、チョウジ。

何を話す気だ?






「だってさ、あのにちょっとでも近づく度に眉がぴくって動くし、

 肩に手をまわされそうになればクナイを投げるし、

 手を握られればカゲマネの術使っちゃうし、

 たちを見失ったらチャクラを使って・・・。」

「チョウジ!!!」








それ以上言うな!








「・・・それって・・・あの日、尾行してたってこと?」







いの、頼むから言わないでくれ!





「シカマル・・・。」






あぁ・・・・背後に殺気を感じる・・・。






「どぉぉぉゆぅぅぅぅことぉぉぉぉぉぉ?」

「お、落ち着け!!」

「問答無用!成敗してくれる!」

が放り出してあるいののホルスターからクナイを5本取り出した。

「シカマルなんか死んでしまえぇぇぇぇぇ!」






わっ!投げるな!

せっかく幸せになれたのに死んでたまるか!

こうなったら逃げるが勝ち!

俺は逃げるために走り出す。

「待てぇぇぇぇ!」

も走り出す。






訓練もしてないのクナイが当たるはずもないのに・・。

俺はわざと走る。

がついてこれる速さで。







「・・・で、そんときのシカマル。どうだったの?」

「見てて楽しかったよ。

 めずらしく思ったことをぶつぶつ言ってたし。」

「ぶつぶつ?」

「うん。

 今、は何をしているって言った?とか、

 なんでもいいからに威嚇代わりに投げてやる!とか、

 またクナイなんか投げたらガラスが割れて大惨事になる!

 ど、どうればいいんだぁ!!!とか・・・。」

「ぷはっ!なにそれぇ!で、本人は気付いてないんだ?」

「うん。気付いてなさそうだったよ。

 シカマルはがからむと周りが見えないみたい。」

「恋は盲目・・・って言うもんねぇ。」

公園の中をぐるぐる走り回っているシカマルとを見ていのは微笑んだ。

















私なりにシカマルをイメージして書いてみました。

どうだったでしょうか?

ちょっち暴走気味ではありますが・・・。

さん、ここまで読んでくれてありがとう!


BGMは(C)お地球見の丘より。よりお借りしました。