ゲーム パート2
「せんだ。」
「みつお」
「「ナハナハ」」
「せんだ。」
「みつお」
「ナハナハ。」
「・・・っあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
大蛇丸が床にうつ伏した。
「大蛇丸様!!」
その場にいるカブトと音の4人衆が慌てる。
「どうして・・・・っ!どうして私が最初に負けるのよぉぉぉぉっ!」
「お、おちついて下さい!」
ショックで半狂乱になっている大蛇丸をカブトが必死になだめている。
大蛇丸とカブトがちょっとした用事で木の葉の里に行ったとき、
二人はこのゲームに出会った。
それが大蛇丸の人生を大きく狂わせていた。
音の里に戻ってからというものの、
音の4人衆を巻き込んで朝から晩までやっていた。
しかし、どうしても最初に負けるのは大蛇丸。
正直言えば、カブトたちは手抜きしている。
なのに、なぜか大蛇丸は勝てない。
そして、この後に待っているのは大蛇丸の八つ当たり・・・。
たまったもんじゃない。
たかがゲームでそこまでやるか?と、いうぐらいすごい。
何かとネチネチと文句を言い、最後には病院送りが待っている。
だから、みんなして手抜きをしよう!と、なったのだが・・・。
なぜかどうしても勝ってくれない。
「もういいわ。今日はここまでよ・・・。」
なんとか立ち直った大蛇丸。
はい、八つ当たり決定。
一同はスタスタ歩いていく大蛇丸の背中を諦めた眼差しで見送った。
「なぁ・・・。」
「ん?なんだよ、デブ。」
次郎坊の問いかけに多由也が振り向いた。
4人衆はカブトのアドバイスで八つ当たりされないように自室に非難している途中だった。
「言葉使い、いい加減直せよ。
って、そうじゃなくて・・・。大蛇丸様のことなんだけどよ・・・。」
「あー・・・いい加減勝ってくれないと俺たちも身がもたねぇぜよ・・・。」
鬼童丸がため息をついている。
「もしかしてさ・・・。
勝ちたいんじゃなくて・・・八つ当たりしたいだけなんじゃないのか?」
次郎坊の言葉に多由也、鬼童丸、左近の足が止まる。
「じゃなかったらここまで負けないはずだし・・・。
俺たちだってこんなに手抜きしてるわけだし・・・。」
「ば、ばかなこと言ってんじゃねーぜよ。!」
「そ、そーだぜ。次郎坊。」
「気にしすぎ・・・だ。」
多由也と鬼童丸と左近が笑った。
が、その笑顔の下になぜか動揺が見え隠れする。
いかにも同じコトを考えてました・・・と言うような・・・。
「そ、そっか・・・。」
次郎坊も慌てて笑顔を作る。
しかし、すぐに訪れる沈黙。
「「「「・・・・・・・。」」」」
なんとも言えない空気が漂う中、4人は何も言わずに自室に入っていった。
全員がドアを閉めた時・・・・。
「・・・・・。」
誰も入らなかったドアがそっと開く。
「・・・この僕を差し置いて大蛇丸様とゲームしているなんて・・・許せない・・・・。」
君麻呂が怒りに燃えた眼で部屋から出てきた。
翌日、いつものように大蛇丸の号令で4人衆はいつもの場所に集まる。
そして始まる「せんだみつお」ゲーム。
ゲームは進み、3回目が終わったとき、カブトはある人影に気付いた。
「あの・・・・大蛇丸様。」
第1回目から負けてくやしがっている大蛇丸にカブトが声をかけた。
「・・・・なによ・・・・。」
機嫌が悪そうだ。
「いつも多由也、鬼童丸、次郎坊、左近を集めてますが・・・。
君麻呂君は呼ばないのですか?」
カブトの言葉に大蛇丸がぴくっ・・・と反応する。
影に隠れていた君麻呂はどんな返答が来るか緊張している。
「いいのよ、君麻呂は。」
「え?」
「君麻呂は呼ばなくていいわ。」
大蛇丸のあっさりとした返事。
君麻呂の胸に走る痛み。
(どうして・・・・僕が・・・・。)
その場にいられなくなった君麻呂は走り出す。
その眼には大粒の涙が・・・。
「君麻呂君!」
走り去る君麻呂の背にカブトが叫んだ。
「多由也!追って!」
「あ、あぁ・・・!」
カブトに言われ、慌てて立ち上がる多由也。
「待ちなさい。」
それを大蛇丸が止めた。
「みんなは私とゲームをするのよ。誰が行っていいと言ったの?」
「でも・・・。」
「口答えは許さないわよ・・・。」
大蛇丸の口から長い舌がチロチロ見え隠れする。
「・・・・はい。」
多由也はまた座りなおした。
(大蛇丸様・・・・。)
君麻呂は走り続けていた。
大蛇丸の屋敷を出て里から随分離れた場所まできた。
一面の草原。
そこに君麻呂は倒れた。
(僕の使命は・・・・大蛇丸様の野望の手助けすること・・・。)
君麻呂は目の前にある1輪の花を見つめる。
(なのに・・・大蛇丸様にとって・・・僕は・・・もういらない・・・のか?)
ギュッ・・・と眼を閉じる。
(僕にとって・・・大蛇丸様・・・あなたしかいないのに・・・。)
涙がこぼれた。
(もはや僕は5人衆として多由也たちと一緒にはいられない・・・。)
(一緒にいれば・・・・僕は彼らに何をするか分からない・・・。)
突然、胸に痛みを感じた。
「ごほっ・・・!」
咳と同時に出てきたのは・・・・血。
(あぁ・・・ついに持病の神経性胃炎が発病してしまった・・・。)
吐き出された血を悲しそうな眼差しで見つめる。
一人佇む君麻呂に冷たい風が吹き付けた。
「なんで・・・・君麻呂君を呼んであげないのですか?」
「・・・・・知りたいの?」
「できれば・・・。」
「そう・・・・。」
大蛇丸は眼を閉じた。
「・・・だって・・・・・・。」
続く大蛇丸の言葉にカブト達は息を呑む。
「君麻呂がいたら・・・・絶対手抜きするもの・・・。」
「「「「・・・・・は?」」」」
「忠誠心・・・とでも言うのかしら・・・。
彼は全身でそれを表してくる。
まぁ、それが気に入ってるんだけどね・・・。
でも、真剣勝負に手抜きされるのってイヤじゃない・・・。」
大蛇丸はぶすっ・・・とした。
((((・・・真剣勝負って・・・・・。))))
「それにもし手抜きしなかったとして、君麻呂が負けたりしたら・・・。
絶対根にもつと思うのよね・・・・。八つ当たりとかすごそうじゃない?
彼、暗いし・・・・。」
((((それはあんただろっ!!!!))))
思ったことはみな一緒。
だけど、口に出せる人はいるはずない。
「・・・君麻呂の話してたら、やる気なくなっちゃったわ・・・。」
それだけ言うと大蛇丸は部屋から出て行った。
残された者たちは開いた口が塞がらない。
大蛇丸の出て行ったドアを呆然と見つめていた。
数日後、君麻呂が戻ってきてそのまま5人衆を抜けることを大蛇丸に言い、
発病してしまった神経性胃炎との闘病生活が続くこととなった・・・・。
今回はドリームではないのですが、いかがだったでしょうか?
前回の『ゲーム』のその後が気になってしまい、こういう形で書いてみました。
もうギャグです。
ギャグ、大好きです。
君麻呂はこれが原因で病気となり寝たきりの生活へ・・・と原作に繋がっていくわけです。
そして5人衆から抜け、4人衆へと・・・。
はい、私の想像の話です。