ずっと続くような闇。
まるで・・・俺のようだぜ・・・。
いずれ朝はくる。
だけど・・・。
俺の中のこの闇は・・・・。
朝を迎えることがあるんかなぁ・・・。
恋哀〜レンアイ〜
「ここから俺たちは別行動する。」
部隊長を中心に円陣を組む。
「2時間後、シカマル、は陽動に入ってくれ。
任務が遂行でき次第、合図を送る。
合図を確認したら速やかに撤退。
もしくは陽動開始2時間後、合図がなくとも撤退しろ。」
「了解。」
「・・・・・リョーカイ。」
と俺は頷いた。
「撤退後、ここに集合。
合図をして1時間でここに戻れなかったら・・・・。」
部隊長が言葉を濁す。
「言わなくていいぜ。」
よっこらしょ・・・と立ち上がる。
「1時間で戻ってくりゃあいい話・・・・だ。」
「シカマルの言うとおりだ。」
も立ち上がった。
「・・・・幸運を祈る。」
上忍二人が姿を消した。
「さーて、俺たちもいいポイント探さねぇとな。」
「あぁ、そうだな。」
自然と歩き始める。
「あの・・・さ・・・・。」
「んぁ?」
「本当に・・・・いのさん・・・だったのか?」
「は?」
「だから・・・・家を訪ねてきたのって・・・・。」
そこまで言われてドキン・・・と高鳴る。
「なぁんだよ。他に誰が来るってんだよ。」
「いや・・・もしかしたら・・・・・・・とか・・・。」
さらにドキン・・・・。
「なんで俺のところにが来るんだよ。お前のところにならともかく・・・。」
「いや・・・なんとなく・・・っていうか・・・・。」
が苦笑した。
「安心しろって。お前が心配するようなことなんかなんにもねぇよ。
ほれ、ちゃっちゃと探して休憩しよーや。」
の前をスタスタ歩く俺。
本当は動揺しまくってた。
が俺を訪ねてきた。
そんなこと、今、これから大事な任務っつーときに言えっかよ・・・。
「そーだな。変なこと聞いて・・・悪かった。」
後ろからの声が聞こえた。
すまねぇ・・・・。
お前に・・・・ウソ・・・・ついちまった・・・・。
別行動を開始して2時間が過ぎようとしている。
「・・・・・。」
「・・・・・。」
視線で確認をした俺とは頷きあう。
「影分身の術!!」
が5人に増えた。
「やっぱ・・・今の俺にはこれが限界だ。ナルト君みたいには・・・いかない。」
「5人もいりゃ上出来だぜ。行くぜ!」
5人のと俺は敵地に忍び込んだ。
が敵をおびき寄せ、俺が影真似の術で捕まえる。
本当はほどの忍びだったらもっと増やせるはずだ。
だが、少なくとも2時間はこれを持続させなきゃならねぇ。
チャクラの消費を考えて・・・俺が5人にさせた。
突然の侵入者に敵の本拠地の城内が騒ぎ始める。
「!来たぜ!」
「あぁ!分かってる!」
なるべく派手に騒ぎ立て、より多くの敵を引き寄せる。
まぁ敵を減らす必要がねぇ・・・ってのが救いだなぁ。
「派手に行くぜぇぇ!!!」
俺とは城内の壁をどんどんぶっ壊して行った。
ピィィィィィィィィィ・・・・・。
「シカマル!」
「おう!」
確かに聞こえた笛の音。
これは任務終了の合図。
さっきまで大暴れしていた俺たちはすぐさま撤退の体制に入る。
分身で増えていたは2人になり、1人をおとりに残す。
その間に俺たちは城から脱出。
集合地点まで走る。
「なんだかんだ楽勝だったな。」
「シカマル!まだ撤退の最中だ!気を抜くな!」
「わぁあってるって!」
へへん・・・と鼻をこする。
これで里に帰れる。
に・・・・会える。
は何か話があるって言ってたっけか・・・。
楽しみだぜ・・・・。
「シカマルっ!!!!」
突然が俺を突き飛ばした。
「・・・・・・!!!!」
俺の目に映ったのは・・・。
クナイと手裏剣を全身に食らってる・・・・。
「・・・!」
落下しそうになったの体を抱え、ひとまず草陰に隠れる。
「・・・っ・・・・・・!!!」
「待ってろ!今抜いて応急処置を・・・!」
俺は1つのクナイに触れて・・・・目を疑った。
「・・・・・どうした・・・・・?」
いつになっても抜く気配のない俺に問いかける。
「・・・・・・・・毒が・・・・。」
「・・・・そっか・・・・・。」
このクナイだけじゃない・・・。
の体に突き刺さっている全部の忍具に・・・。
大サービスと言わんばかりに・・・・毒が塗られていた。
「・・・・・・毒の応急処置の仕方・・・分かるか?」
「・・・生憎・・・さっぱり・・・。」
「・・・ちっきしょお・・・・こういうときにがいてくれたら・・・。」
は医療忍術を得意とする忍び。
どのような特性があるか、毒を見れば一発だ。
「・・・・毒を体内から吸い上げれば・・・・いいんだっけか?」
「・・・・忍具を抜いて・・・そこから空気に触れることで・・・・感染する毒も・・・あるらしい・・・。」
「・・・ったく・・・どうしろってんだよ・・・・!」
苛立ち始める俺。
元々は俺が悪かったんだ・・・。
まだ撤退の最中にもかかわらず・・・浮かれて注意散漫になっちまったから・・・。
本当なら俺が・・・。
「・・・シカマル・・・。行け・・・・。」
「へ?」
「そのうち・・・追っ手が来る・・・・お前だけでも・・・逃げろ・・・。」
・・・・俺に・・・見捨てろって言ってんのかよ・・・。
「・・・・ここで・・・二人して・・・・死んだら・・・・が悲しむ・・・。」
「バカ言ってんじゃねぇよ!俺が帰っても意味ねぇよ!お前が帰らなきゃ・・・!」
「と・・・・約束・・・したんだろ・・・・。」
の言葉に・・・・俺は言葉を詰まらせた。
「・・・・ごめん・・・。本当は・・・・あのとき・・・の後・・・・追ってたんだ。」
「・・・・・。」
「まさか・・・・お前に会いに行くなんてなぁ・・・。」
ハハ・・・と笑ったは血を吐いた。
「・・・・本当は・・・・知ってた・・・・。」
「・・・・・何・・・を?」
「・・・お前が・・・・を・・・スキ・・・なのも・・・。
が・・・・お前を・・・・スキ・・・なのも・・・。」
が・・・俺を?
「俺は・・・知ってて・・・それでも・・・を誰にも渡したくなくて・・・。
に・・・ウソ・・・ついたんだ・・・。
シカマルは・・・・砂隠れのくのいちに・・・・惚れてる・・・ってな・・・。
それで・・・落ち込んだに・・・・告白・・・したんだ・・・。」
俺が・・・砂隠れのくのいちに惚れてる・・・?
「・・・付き合い始めたときは・・・・幸せだった・・・。
だけど・・・だんだん・・・・の態度で・・・・分かったんだ・・・。
は・・・まだ・・・・・お前のこと、諦めてないってな・・・。
・・・なんでいつもあの公園・・・で待ってるか・・・知ってるか?」
が俺を見上げる。
「・・・・お前に・・・・会いに・・・行ってたんだよ・・・。
だから・・よ・・・シカマル。
お前だけでも・・・・・の許に・・・帰れ。」
さらに血を吐く。
俺の思考は・・・・めずらしく停止してた。
が・・・・俺を?
あの公園で俺を待ってた?
「早く・・・行け。追っては・・・・俺が引き付けるから・・・。」
フラフラと立ち上がる。
今、俺がするべきことは?
の腕を掴む。
「バーカ。今頃懺悔してんじゃねーよ。」
「シ、シカマル・・・!」
の腕を肩に回し、強引に引っ張る。
「・・・っ・・・・!」
「そんな体で追ってを引き付けられると思ってんのかよ。」
「でも・・・!」
「いーから。お前は黙ってろ。」
を担いだまま、俺はチャクラを脚にためて走り始める。
「ちょっくら急ぐから辛れぇかもしんねぇけど・・・・我慢しろや。」
「・・・・怒って・・・・ないのか?」
「・・・・怒ってるさ・・・。でも、今はそんなことでグジグジしてる場合じゃねーだろ。
二人で・・・・一緒に・・・・のところに帰ろうぜ・・・。」
「・・・・・サンキュー・・・・・。」
の目から・・・・水滴がこぼれた・・・気がした。
きっと鼻水・・・・なんだろーな・・・。
集合場所にいた上忍と落ち合い、の処置をしてもらった。
だが、二人とも医療忍術はさほど得意ではなかったらしい。
あくまで応急処置・・・だけだ。
クナイや手裏剣は引き抜かれたものの、体内の毒は特殊な方法で浄化つせないとまずいらしい。
今はこれが精一杯だと・・・。
「一刻も早く里に戻ろう。」
上忍の言葉に素直に頷いた。
里に戻ってこれた俺たちはすぐにを病院に運び込んだ。
多少の怪我をしていた俺たちも処置してもらう。
「シカマル!」
いつの間にかが着ていた。
「・・・・・・・どうして・・・・。」
「さっき緊急で呼ばれたの。急患がいて手に負えないって・・・。」
・・・・。
「それは俺じゃねぇよ。・・・・・・・だ。」
「・・・・・・・・?」
「急いで・・・・行ってやれ・・・・。」
戸惑ったままのの背を押しての待つ緊急治療室に向かわせた。
ドアの向こうに消える。
、頼む。
を・・・・助けてやってくれ・・・。
柄にもなく・・・・神様っつーもんに祈っちまったぜ・・・。
どれぐらいの時間がたった?
やけに時間が遅く感じる。
はどうなった?
俺は待った。
が出てくるのを・・・。
笑顔で「もう大丈夫」と言ってくれるのを・・・・。
ドアが開いた。
中からが出てくる。
「・・・!」
「シカマル・・・・。」
はチャクラを使い切ったようで憔悴している。
「は・・・!」
「・・・・中に・・・・。」
がドアの向こうへと誘う。
緊張したまま俺は部屋の中に入った。
「・・・・・・!」
中には全身に包帯を巻かれ、よく分かんねぇコードがの体に巻きついている。
「・・・・、シカマル・・・呼んだよ。」
がそっとの耳元に囁いた。
「・・・ありがと・・・・。」
微笑んだ・・・。
何かがおかしい・・・?
「シカマル・・・悪いけど・・・・そばまで来てくれないか?」
「・・・・あぁ・・・・。」
緊張したまま、のそばにいく。
「・・・・・・・・もう目が見えないの・・・。」
「・・・え?」
の言葉に嫌な予感がする。
「・・・・毒の回りが速くてね・・・・もう・・・助からないらしい。」
ハハハ・・・と明るく笑う。
「助からねぇ・・・って・・・!!こんなに元気じゃねーかよ!」
「・・・例えて言うなら・・・・嵐の前の静けさ・・・らしい。
そのうち毒によって内臓が溶かされていくんだってさ。」
「・・・・お前・・・なんでそんなに笑ってられんだよ・・・・。」
緊張のあまり、手が震える。
「そんなことより・・・・二人に話したいことがあってさ・・・。」
「そんなことって・・・・。」
「・・・・シカマルには・・・・もう言ったけど・・・・。」
心臓が高鳴る。
「・・・ずっと騙してて・・・ごめん。」
「・・・え?」
「本当は・・・知ってたんだ・・・・。が・・・誰を好きなのかを・・・。」
「・・・・!」
「知ってて・・・それでも・・・と付き合いたくて・・・ウソ・・・ついたんだ。
シカマルは他に好きな女がいる・・・ってね。
だけど、それはウソで・・・。
シカマルは本当は・・・・・・・それはシカマルから聞いてくれ。
俺は・・・・の気持ちを知りながらも・・・・ずっと騙してた。
ごめん・・・・。」
「・・・そんな・・・。」
「ずっと・・・・怖かった・・・・。
いつ、それがバレるのか・・・・。
バレたあと、二人になんて言われるのかって・・・・。
言わなきゃって思っても・・・・言えなかった。
二人は・・・・俺にとって・・・大事な・・・仲間・・・なのに・・・。」
の光の映らない目から・・・・涙がこぼれた。
「ごめん・・・・本当に・・・ごめん。
を・・・手放したくなかっ・・・・・っ・・・・・!」
突然、の顔が痛みに歪んだ。
「!」
「おいっ!!」
と俺は同時に叫ぶ。
外から医者や看護婦が飛び込んでくる。
「・・・・そろそろ・・・・時間・・・みたい・・・・だ。」
よっぽどの激痛なのか・・・。
自分の刃で唇を噛み、血を流す。
「・・・・本当に・・・・ごめん・・・・。」
「・・・・いいから・・・・もう分かったから・・・!」
の目から涙が溢れる。
何かの指示を医者が叫び、バタバタと看護婦がそれに従う。
騒然となる部屋。
「これからは・・・自分の・・・・気持ちに・・・・素直に・・・・・・・。」
「・・・・!」
「・・・それでも・・・と・・・・付き合えて・・・幸せ・・・。」
ピィィィィィィ・・・・。
何かの機械が鳴る。
同時に・・・・は動かなくなった。
「・・・・・・・・。」
が・・・・の手を握り締める。
「・・・うそ・・・だろ?」
今まで目の前で動いてた。
いきなり動かなくなった。
「・・・・・残念です。」
医者の声が響く。
「・・・・・・・・・・・。」
泣きじゃくる。
俺はその場に居られなくて・・・・。
部屋を飛び出した。
うそ・・・だろ?
なんで・・・が・・・?
だって、苦しそうではあったけど、ちゃんと動いてたぜ?
もしかしたら・・・寝てるだけかもしれないんだぜ?
そんな・・・・。
簡単に「残念」とかって・・・・言うなよ・・・。
も・・・そんなに泣くなよ・・・・。
が・・・・起きれないじゃねーか・・・。
「やっぱり・・・・ここにいた・・・・。」
振り向けば・・・・がいた。
気付けば俺はあの公園に来ていた。
どうやって来たか・・・覚えてねぇけど・・・。
は・・・・泣きはらした目をしていた。
あの時から・・・・どれだけ時間が過ぎたんだ?
「・・・・今・・・・火影様や・・・他の友達とかが・・・最後の別れをしてる。」
「・・・・・。」
「・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・笑ってたよ。」
「・・・・・・。」
「・・・・ずっと・・・・悩んでたことを懺悔できて・・・・すっきりしたみたい・・・。
幸せそうに・・・・微笑んで・・・。」
の言葉が詰まる。
「絶対痛かったはずなのに・・・・・辛かったはずなのに・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・最後は・・・・笑顔だっ・・・・!」
そっと空を見上げた。
灰色の雲が空を覆っている。
手に水滴が落ちたのを感じた。
と、同時に、一斉に雨が降り始める。
・・・・・俺は・・・・泣いているのか・・・・?
だとしたらよぉ・・・。
雨に全部・・・・隠してもらうしかねぇよ。
もう・・・俺は動けねぇからな・・・・。
任務開始8時間後。
俺の親友のは・・・・。
この世を去った。

シカマルの長編、第2話っす。
いかがだったでしょうか?