なぁ、



俺にどうしろっつーんだよ。



こんなの、ずりぃよ・・・。



自分の言いたいことばっか言いやがって・・・。



俺にも・・・なんか言わせろよ・・・。










恋哀〜レンアイ〜










翌日。

の葬儀が行われた。

沢山の人が集まった。

下忍時代の仲間や教師、近所の人、他にも・・・。











俺は線香をあげてすぐにその場を離れた。

だって・・・。









本当は俺だったかもしれない。





が死んだのは・・・・俺のせいだ。







聞こえてくるの家族への慰めの言葉、

周りから聞こえる泣き声。





全部が俺を責めている気がして・・・。











慰霊碑に刻まれたの名を見つめていた。

「辛いか?」

背後から声がした。

「・・・・アスマか・・・・。」

振り返ればアスマがいた。

アスマはタバコを吸いながら俺の隣に立った。

「・・・・さっき・・・のお袋さんが探してたぞ。」

「・・・・・・。」

「・・・・も・・・・探してたぞ。」

「・・・・・・。」

「戻らなくて・・・。」

「戻れるかよ!」









何かが切れた音が聞こえた。







「あれは俺の不注意で・・・!

 は俺をかばって死んだんだぞ!」

「・・・・・。」

「そんな俺があそこにいれるかよ!」

「・・・・。」

「お袋さんだって絶対俺を責める!だって・・・!

 お前がもっと注意してれば・・・って言うに決まって・・・!」







頬に衝撃を感じたとき、俺は地面に転がってた。





「・・・・それが怖くて逃げ出したのか?」

アスマが俺を見下ろす。

「・・・・・っ!」

言い返せない。

「・・・・のお袋さんや、他の人に責められるのが怖いのか?」

アスマが俺の前にしゃがんだ。

「だったらお前、忍び、辞めろ。」

「・・・・!」

「忍びというのがどんなものなのか、この里に住んでいる者は分かっている。

 里を守り、仲間を大切にし、そして、任務を遂行する。

 それが木の葉の忍びだ。

 ・・・・は立派な木の葉の忍びだよ。

 が忍びである以上、ご両親はそれを分かっている。

 当然、他のみんなも・・・だ。

 それなのにお前は自分が責められるのが怖くて逃げ出した・・・。

 それじゃあ、お前を助けたがかわいそうだぜ・・・。」

「・・・・アスマに・・・何が・・・・っ!」

ここまで言って・・・・気付いた。









アスマは上忍。







俺なんかより、忍びとして長い。















俺なんかより、ずっと・・・・。













「・・・わりぃ・・・・・。」

「気にするな・・・・。

 誰だって・・・・大切な仲間の死は・・・・辛い。」

「・・・・・・。」

「もし、仲間の死が自分の非が原因だとしたら・・・・。

 最後の最後ぐらい・・・・助けた甲斐があったと故人に思わせてやることだと・・・。

 俺は思うんだがな・・・・。」









顔を上げれば・・・・・。

アスマは俺に背を向けてタバコを吸っていた。







「ありがとよ・・・・アスマ。」









俺は走り出した。











に会うために。











「あ、シカマル君!」

「シカマル!どこ行ってたの!」

お袋さんとが駆け寄ってくる。

「すんませんでしたぁ!」

突然頭を下げた俺をお袋さんが驚いてみている。

「俺の不注意でがこんなことになって・・・・。本当にすんません!」

言い訳なんかしねぇ。

これで殴られるならしょーがねぇ。

お袋さんの気がすむまで殴られる覚悟はある。

「・・・・・・。」

俺の肩にそっと何かが触れた。

「・・・顔を・・・上げて。」

お袋さんの言葉に顔を上げる。

「・・・・シカマル君・・・・。」

お袋さんの目は・・・・優しかった。

が守ろうとしたあなたが生きて帰ってきてくれた・・・。

 それだけで十分だから。」

「・・・・は・・・・俺にはもったいないからいの・・・大切な仲間でした・・・。」







それを言うのが精一杯だった。





お袋さんは俺を抱きしめ、忙しそうに走っていった。





そんなお袋さんの優しさが・・・・泣けてきた。





















忍びである以上、危険は付き物。



任務のたびにその覚悟をする。



それは・・・・。



里に残された者も同じで。



任務に向かう者の背を見ながら。



覚悟する。



どんな結果となろうとも。

















それを今、初めてイヤってほど・・・・思い知ったぜ・・・・。























「シカマル。」

葬儀が終わって帰る途中。

に呼び止められた。

「・・・・・・・・。」

「さっきシカマル、かっこよかったよ。。」

ふふ・・・と微笑むは明るくて・・・。

頑張って笑ってるのが・・・・すぐに分かる。















どちらからとも無く歩き始め、なんとなく・・・。

本当になんとなく、あの公園のいつものベンチに座っていた。

「・・・・・・・・・知ってたんだね。」

「・・・・・?」

「本当は・・・・私はシカマルが好きだったってこと・・・・。」

は俯いた。

長くて細い髪が・・・サラ・・・って落ちる。

「・・・・には・・・バレバレ・・・・だったんだね・・・。」

「・・・・・・。」

「私・・・・シカマルのこと・・・・スキ・・・だった。

 でも、から・・・・シカマルは砂のくのいちがスキだって聞いて・・・。

 だから、言わなかった。

 気持ちを伝えて、ギクシャクするのがいやだったから・・・。

 そしたら・・・が告白してくれて・・・。」

がクスッ・・・と笑った。

「正直、あのときはヤケになってた部分もあったんだと思う。

 シカマルが他の女と付き合うのなら・・・!って・・・・。

 に・・・・失礼なこと・・・・しちゃった・・・・ね。

 私って・・・・・サイテーな・・・・女だ・・・・。」

顔は見えないけど・・・。

が泣きたいのを堪えてるのが・・・・分かる。

「・・・・でも、は優しくて・・・。居心地よくて・・・。」

「居心地良くなってきてたってことは・・・・お前はのこと、ちゃんと好きだったんだよ。」

「・・・・・。」

「じゃなかったら・・・・後ろめたさでいっぱいになってたはずだ。」

「・・・・・そーかな・・・。」

「少なくとも・・・・俺には相思相愛に・・・・・見えたぜ。」







だから、俺は胸が痛んだ。





「こりゃ二人の間に割って入ることなんてできねぇやって・・・・思ったぐらいだし・・・。」

「・・・・・・。」

「俺、のことが好きだったぜ。」

「・・・・・。」

「でも、からお前と付き合い始めたって聞いて・・・。

 なら・・・・優しいし・・・・俺と違ってマメだし・・・。

 少なくとも、俺と付き合うよりはお前が泣かなくて済むって思ったら・・・。

 俺は・・・・自分の気持ち、言えなかった・・・・。」

「・・・・・・。」

「所詮、俺の気持ちなんてそんなもんだったっつーことだ。」

「私の気持ちも・・・ね。」









公園には子供らが遊んでて。

その声がやけに響いている。









「・・・・・気付いてたか?」

「・・・・・ん?」

「俺たち、自分の気持ち、全部過去形で話してることに。」

「・・・・・うん。」

「もう・・・・過去なんだ。」

「・・・・・全てを知るのが・・・・遅すぎた・・・んだね。」

「・・・・あぁ・・・・。」











が立ち上がった。









「私、シカマルのこと、好きだったよ。」

「・・・・俺も・・・・好き・・・だった。」

「でも・・・・今はのことを・・・・好きでいてあげたい。」

「・・・・あぁ・・・。」

のウソから始まった恋愛だけど・・・・私は大事にされてたし。」

のこと、大好きだぜ。」

「だから・・・・。」

「・・・・・・・だから・・・・。」







俺たちは付き合えない。











今の俺の中で。







への愛情なんかよりも。







への友情のほうが大きい。











それは・・・・も同じ。













「じゃ・・・・私、行くね。」

「あぁ。」











が歩き出す。









俺はベンチに座ったまま。







「あ。」

が振り返った。

「どーした?」

「私、明日から任務なの。」

「ゴクローなこった。」

「長期任務でいつ里に戻ってくるか分からないの。」

「・・・・・危険・・・なのか?」

「ううん。危険は全くないよ。小さな村の復興作業だから。」

「そっか。」

「・・・・しばらく・・・・会えないね。」

「会えないな。」

「私のこと、ちょっとでいいから覚えといてね。」

「めんどくせぇから覚えといてやるよ。」

「どーだか?」

すっきりした笑いを見せた







足早に公園から姿を消した。

























せっかく通じた思い。









だけど、全てが遅すぎた。









それはのせいじゃなくて。









俺の勇気のなさが原因。









もし、より早く気持ちを伝えていたら。









こんな結果にはならなかったはずだ。









亡きに遠慮する俺。







亡きへの思い、思い出を大切にしたい









そんな俺たちが・・・・。











一緒にいれるはずがねぇよ。















          

はい、シカマル長編第3話でっす。

なんとかハッピーエンドにしたいんだけど・・・。

ハッピーになるのでしょうか・・・?