1年の中で一番、夢のある日。



いつだか分かる?
















































雪のプレゼント















































12月。

・・・・のわりに暖かい今日この頃。

「あーあ・・・・。」

本日何回目かのため息が出た。

「・・・・どーした?」

隣でごろごろしていたシカマルが聞いてきた。

「んー・・・?なんでもなぁい・・・はぁ・・・・。」

言葉とは裏腹にため息の連続。

シカマルはほっといて、私は空を見上げた。

「・・・ったく、なんだよ。さっきから。」

さすがにイライラしたのか、シカマルが体を起こした。

「どーせシカマルに言ったって、笑うから言わない。」

「そんなのわかんねぇだろ。言ってみろよ。聞いてやるから。」

「・・・笑わない?」

「・・・・多分、な。」

「じゃ、言わない。」

「言えよ。」

「・・・・・。」

シカマルをチラッと見る。

シカマルは私の方を向いて、ちゃんと聞く体制に入ってくれてる。

これで言わなかったら本当に怒りそうだ。

「・・・・あのね。」

「おう。」

「・・・雪、降ってくれないかなぁ・・・って。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷっ。」

大量の沈黙の後、シカマルが噴き出した。

「やっぱり笑ったぁ!!」

ウソツキっ!と、シカマルに殴りかかる。

「なんで雪なんか降ってほしいんだよ。めんどくせぇ。」

ほら、出た。

シカマルの口癖『めんどくせぇ』が。

「雪が降ったら、任務が辛くなるだけだろ。」

「そーだけどさー・・・。」

シカマルも私も忍。

何度か雪の国に任務で行ったことあるけど・・・。

それはそれは、最悪、としか言いようがなかった。

「俺は今日みたいな天気のほうが気楽でいいけどな。」

「そーだけどさぁー・・・。」

「雪なんか降ってみろよ。全員集合で雪かきだぞ?」

「・・・・・。」

色々言われているうちに、だんだんブルーに入る。





シカマル・・・分かってないんだ・・・・。





私は楽しみでしょうがないのに。





12月に何があるのか・・・。





「どーせのことだから、ろくでもねぇこと期待してんじゃねーの?」











カッチーーーーーーン・・・・。









「シカマルの・・・バカァァァァァァァァッ!!!!!」







シカマルの耳元で絶叫して、私は走って家に帰った。

















































12月。と、言えば・・・。















クリスマスに決まってんじゃんか、シカマル。





















































さすがに夜になると寒くて暖房を入れる。

窓には水滴がくっついて、外が見えない。

「・・・・これで・・・出来る・・・ハズ・・・・。」

独り言を言いながら、オーブンのスイッチを入れる。

プーン・・・と音とともに中が加熱し始める。

「さて・・・と・・・。」

視線をテーブルに移す。

そこには失敗作だらけ。

「どーすっかなぁ・・・。」

丸焦げのケーキ、しぼんだケーキ、爆発してるケーキ・・・。

「こんなんじゃ・・・クリスマスに間に合わないよ・・・。」

自分の料理の腕の無さに自分で嘆いてしまう。









クリスマス。







1年の中で一番夢のある1日。







シカマルに何かあげたい。







と、思ったんだけど・・・。

シカマルの誕生日に何がほしい?って聞いたら、

休暇、と言われてしまった。

それは火影様に頼んでくれ、と言って終わった。







今度はクリスマス。

何をあげていいのか分からなくて、

思いついたのが、ケーキ。





シカマルの家はどちらかと言うと和風な家で。

遊びに行って出てくるのはお煎餅とか、あんみつで・・・。

聞いたところ、誕生日はケーキではなく、ママさん特製オハギだとか。





きっと・・・クリスマスも・・・・。









だから、私はケーキをプレゼントしようと思った。

思ったんだけど・・・・思ってたハズなんだけど・・・。





時間になり、オーブンを開けると・・・。





「な、何!!」

中のケーキは見事真っ黒。

「もぉいやぁぁぁぁ!!!」







あぁ、サンタさん。

私に料理の才能をプレゼントしてください・・・。



























毎日毎日。

任務から帰ってきてはケーキの練習。

母親には材料がもったいないと怒られ、

父親には頼むからオーブンを壊すなと泣かれ・・・。









仕方なく、しばらくケーキ作りはお休みすることになりました(泣)。
























































クリスマス・イヴ。



「・・・・だめだったか・・・・。」



空を見上げて呟く。











快晴。





しかも、12月のくせに暖かい。









許せん・・・。









と、言ったところでどうしようもなく。

本日の任務に行く。

年末・・・ということで、今日はみんなで大掃除。

手の空いている(任務のない)忍は、下忍・中忍・上忍に関係なく。

里全体の大掃除。

仲良しのいのの姿を探す。

「いのなら任務よ。」

サクラが教えてくれた。

「え?じゃあシカマルもチョウジも?」

「朝早くから任務だって、いのが言ってたわ。」

そっか・・・。

だから、いないんだ。

実は朝からずっと探してたの、シカマルを。

だけど、どこにもいなくて・・・。





なぁんだ・・・・任務・・か。







いつ帰ってくるのかなー・・・。


































































結局、夜になっても、クリスマス当日になっても、帰ってこなかった。

「あーあ・・・。」

自分の部屋で目の前の完成したクリスマスケーキに呟く。

「・・・・折角作ったのに・・・・バカヤロウ。」

ケーキ、食べてしまおうか。



だけど、折角作ったのに。



シカマルに見せる前に食べるなんて・・・。









もったいない・・・。





あと少しでクリスマス、終わっちゃうよ・・・・シカマル・・・。
























私はテーブルにうつ伏して、そのままウトウトしてしまった。





















































「・・・・、・・・・・い。・・・起きろって・・・・。」











・・・・何?









「風邪、ひいちまうぞ。」







んー・・・・・。



































































・・・・・・・え?











ガバッと起きた私の目の前にはシカマルがいた。

「シカッ・・!!!」

「だー!うっせーよ!!お前の親、起きちまうだろっ!!」

私の口を塞いで、シカマルが怒った。

見れば、時計は12時をちょっと過ぎていた。

「・・・今帰ってきたの?」

「おぉ。ったく、めんどくせー任務だったぜ・・・。」

シカマルがぼやく。

「これ、食っていいのか?」

シカマルの視線はケーキに向いてる。

「・・・・いいよ。」

「んじゃ、遠慮なく。」

私の視線など気にすることなくケーキをガツガツ食べるシカマル。

「・・・おいしい?」

「・・・・・・んー?」

「・・・・おいしい?」

「どーだろーな。」

「・・・・・おいしい?」

「今食ってんだかろ、黙ってろよ。」









・・・・・・・・・ムカッ。









「食べるなー!!!」

食べてる最中にケーキを無理やり奪い取る。

「ったく・・・めんどくせーな・・・・アレ、やるから大人しく待ってろよ。」

シカマルが窓を指した。

「窓なんかいらん!!つーか、うちのだ!!」

「ちげーよ!窓の外だっつの!!」

「・・・外?」

窓は白く曇ってて外が見えない。

ケーキを置いて、窓をそっと開けてみる。









「・・・・これ。」









「欲しかったんだろ?」









振り返ると、シカマルがにやっと笑った。








「Merry X’mas」







・・・・やられた・・・。









「さすがに雪降らすことはできねぇけど・・・。

 それぐらいなら・・・な。丁度任務先が雪降ってたしよ。」

「シカマル・・・。」

「・・・・・これ、ありがとな。」

「全部食べてね。」

「・・・・・めんどくせーけど・・・・全部食ってやる。」

「うん・・・・。」















ねぇ、シカマル。









私は雪がほしかったんじゃないよ。









シカマルとホワイト・クリスマスを楽しみたかっただけ。











だけど・・・・。









こんなプレゼントも、最高だよね。













窓の外には小さな形の悪い雪だるまがいた。





















シカマル短編クリスマスバージョン!!
いかがでした?
12月末までフリーです♪