心配してたから・・・。



心底、心配してたから。




































2年越しのキス





























寒さの増す夜。

「・・・さむ・・・・。」

カカシは体を震わせた。

「・・・このままじゃ風邪、ひくって・・・。」

誰もいない火影岩の上。

眼下を見れば街はお祭り騒ぎだ。

「・・・年の瀬だねぇ・・・。」

カカシは微笑んだ。







12月31日。

1年最後の日。

誰もが1年を振り返り、新しい1年に期待する日。

木の葉の里も例外なく新年への準備で賑やかだった。





住人が笑顔だと、カカシも笑顔になる。

笑顔は平和だという証拠となるのだから。







・・・まだかな・・・・。」

つい、愛しい人の名前を呟いてしまった。

途端に淋しさが増す。









「カカシ、一緒に新年を迎えない?」

「いいよ。急に任務にならなきゃ・・・・だけどね。」

「分かってるって。私も忍よ?」

「どこで迎えるの?」

「んー・・・火影岩の上で街を見下ろしながら・・ってのは?」

「オツだね。いいよ。

 でも、寒いの苦手って言ってなかったっけ?」

「そういう時は別なのよ。」









楽しそうに笑っている恋人を思い出す。

が言い出したのに・・・。」

口布で見えない口を尖らす。





昨日までは何事もなく平和だった。

なのに、今朝になってに任務が舞い込んだ。

急を要するということだった。

悔しそうにベッドの中のカカシの腕から出て行く

そんなを抱きしめたかったが・・・我慢した。

抱きしめたら離せそうにない。

泣く泣く出て行くに笑顔を向け、泣く泣く送り出した。







大した危険のない任務だと言っていた。

なのに、まだ帰ってこない。







何かあったのか?







不安が過ぎる。

だが、そんな考えを振り払うように頭を振る。







だって上忍だ。

そう簡単に手傷を負うことはないだろう。

は大丈夫。







必死に自分に言い聞かせる。

なのに、思い出すのは・・・・・。

の小柄で頼りない姿。

ギュッと抱きしめたら簡単に折れてしまいそうだ。







目を閉じる。









・・・早く帰ってきて。

が隣にいないと・・・・不安だよ。

































不意に下の街から歓声が上がり始めた。

「・・・・・?」

耳を澄ませば新年へのカウント・ダウンが始まっている。

「ふぅ・・・・。」





一緒に迎えたかった・・・のにね。





空を見上げ、どこかにいるだあろうの無事を願う。

カウント・ダウンの声がさらに大きくなった。





「20!・・・19!・・・18!」





声が揃い、大合唱だ。





「10!・・・9!・・・8!」















突然、カカシの前に何かが降って来た。

咄嗟に身構えようとしたカカシだが、

伸びてきた手に顔を押さえられてしまった。







油断してたワケじゃない。





降って来たのが誰だか、すぐに分かったから・・・。







手はカカシの頭を引き寄せ、素早く口布を降ろして・・・・。



















「3!・・・2!・・・1!」





「おめでとぉ!!!!」







下の声はカウント・ダウンではなく、新年の挨拶に変わっていた。





























カカシは降ってきたをしっかりと抱きとめ、されるがままにされていた。

暫くして、そっと唇を離した。

「・・・・間に合ってよかったぁ〜。」

が安堵のため息をついた。

「・・・いきなりの登場にかなり驚いたんだけど?」

「あー・・・ごめん。任務の後、ダッシュで帰ってきたから・・・。

 うまく切り替えができなかったの。」

「・・・・しかも唇まで奪われちゃうし・・・。」

「1年の最後と新年の最初にキスできたのよ?」

「2年越しのキス?」

カカシが言うと、は笑った。

ふと見れば、の頭に葉っぱが所々についている。

それを指で摘まむ。

「本当に走ってきたんだね。」

「間に合わなかったら、次の新年まで待たなきゃいけないしね。

 それまで私たち、続いているか分からないし?」

「うわっ・・・・言っちゃったよ、この人。」

微妙に凹むカカシ。

そんなカカシを見て、はさらに笑い、カカシに抱きついた。

カカシもを抱きしめる。





「ねぇ・・・。」

「ん?」

「私を待ってる間、何を考えてたの?」

「当然、のこと。」

「どんな風に?」

「んー・・・?

 今どこにいるのか・・・とか、無事なのか・・・とか・・・。」





カカシはそこまで言って気付いた。





自分が遅刻すると何故は怒るのか。

怒る前まで、何故泣きそうな顔をいつもしているのか。





心配してたから・・・。

心底、心配してたから。







こんな職業柄、いつ、どうなってもおかしくはない。





俺が遅刻する度に、いつもこんな思いをしていたか・・・。







「俺、今年の目標、決めた。」

「何?」

「遅刻を少なくする。」

「突然どうしたの?」

「もう・・・にこんな思い、させたくない。」







腕の中にいる暖かい小柄な体をそっと抱きしめる。







「2年越しのキスもしたし、カカシも目標を決めたし。

 今年は幸先いいかもね。」





がカカシの顎にキスをした。







「そーいえば、まだ言ってない。」



「んー・・・キス、してたからね。」





「じゃあ・・・。」

「改めて。」









A Happy New Yaer♪



今年もよろしく!!