幸せの一瞬
幸せを感じる一瞬
幸せを実感できる一瞬
幸せの存在
任務が終わり、俺はそのままの家に向かった。
空を見上げれば、いっぱいの星が輝いている。
自分の体を見れば、今回の任務でついた返り血が所々についてる。
早く会いたい。
俺は脚にチャクラをため、さっきより速度を上げた。
案の定、の部屋の窓は電気が消えていた。
窓辺に降り、そっと窓を開ける。
「・・・無用心なんだから・・・。」
鍵がかかっていないことに多少心配になるけど・・・。
これは俺がいつ戻ってきてもいいように・・・との配慮であることは知っている。
別に鍵がかかっていても俺には関係ないんだけど・・・さ。
足音を立てずに、まずは洗面所に行き、服を脱ぎ手を洗った。
流れる水は赤く染まる。
自分の血ではないけど、血を見るのはやっぱいい気はしない。
石鹸でゴシゴシと念入りに手を洗い、の用意してくれている服を着る。
今度はの寝室へと向かう。
すやすやと寝息を立てているの顔を覗き込む。
頬にそっと手を伸ばし、を感じる。
「・・・・ん・・・・・。」
軽く寝返りを打つ。
帰ってこれた。
ほっとしている自分に苦笑してしまう。
だって、里1番の忍と言われているこの俺が。
ただ一人の女に、しかもただの寝顔にここまで癒されちゃってるんだよ?
ま、俺もただの男だった・・・と、いうことでしょ。
しばらくの頬に触れていたが、の寝顔につられたのか、
ほっとして気が抜けたからか・・・。
睡魔が襲い掛かる。
を起こさないように、の隣に滑り込む。
ぎゅっ・・・・とを背後から抱きしめる。
胸いっぱいにの香りを吸い込む。
「・・・ん・・・・カカシ・・・?」
「あ、起こしちゃった?」
「・・んー・・・・カカシ・・・・。」
「・・・・ん?」
「・・・カカ・・・・。」
は寝返りを打って俺の方を向き、モソモソと俺の胸に顔を寄せて・・・・。
そのまま寝た。
「寝ぼけてるのね・・・・。」
クックックッ・・・・と笑いを堪えて、の肩まで布団をかけてあげる。
そのまま布団ごと、抱きしめる。
ねぇ、?
今日は何をしていたの?
1日の中で、俺の事、考えてくれた?
どれぐらい考えてくれた?
明日は確かも仕事休みだよね?
何をして過ごそうか?
折角二人の休みが重なったからどこかでかける?
きっとのことだ。
1日ダラダラして体を休めなさいって言うんだろぉな。
俺としてはといれればそれだけでいいんだけどね?
明日、起きてから二人でゆっくり考えよ?
二人で朝食を作って・・・。
二人で食べて・・・。
洗濯して・・・。
コトコトコトコト・・・。
あー・・・なんの音・・・だ?
あ・・・・いい匂いがする・・・。
味噌汁の匂いだー・・・。
・・・・・ん?
そっと目を開けると、隣にいたの姿がなかった。
代わりにキッチンから鍋の噴いている音がする。
ベッドから出で、キッチンに行き、火を止める。
「ー?鍋、噴いてるよぉ?」
「えー!!ごめぇん!!止めてぇぇぇ!!!」
「もう止めたよぉ。」
の声のする方に探しに行くと、は洗濯物を干していた。
その中に・・・・俺の任務服も・・・。
「おはよう。」
「・・・うん、おはよう。」
きれいになった任務服を見て、ちょっと凹んだ。
本当はより先に起きて自分で洗濯するつもりだった。
はどんな気持ちでそれを見たのかな。
「今日は天気がいいから外にでかけよっか。」
は明るく振り向いた。
その目は・・・・泣いた跡が残っていた。
「そーだねぇ。お弁当なんか作って・・・ね?」
そっとを抱きしめる。
「カカシ・・・?」
「うん・・・・大丈夫だから。」
「・・・・うん・・・・ごめん。おかえり。」
「うん・・・ただいま。」
背中に回されたの腕に力が入る。
俺もを抱きしめる腕に力が入る。
一般人のにとって・・・・血はどういう風に見えるのか・・・。
一般人のにとって・・・・俺が任務に赴くときどう見えるのか。
けど、は一言も文句を言わない。
俺が任務に行くと言えば、いってらっしゃい、と。
帰ってくれば俺の無事を確認して、おかえり、と。
だけど、血を見ると・・・・。
ああやって黙って影で泣いている。
一般人にはキツイ・・・かもしれない。
を思って別れることも考えた。
だけど、先にに言われてしまった。
「私がカカシを心配するのは当然のことでしょ?
私がカカシを心配しなかったら、誰がカカシの心配をするの?」
悪戯っ子みたいな笑顔を向けて。
うん、以外、俺を心配してくれる人はいないよ。
以外、いらないよ。
「お鍋、ありがとね。」
「どういたしまして。」
顔を上げたはもういつものだった。
「もうすぐ洗濯物終わるから、着替えてきなよ。そしたらご飯にしよ?」
「分かった。」
俺の返事に満足そうなは俺から離れて残りの洗濯物に手を伸ばす。
「。」
「ん?」
作業に戻ろうとしたを手招きする。
そのままを抱きしめて・・・・キスをする。
触れるだけのキス。
だけど・・・・。
幸せの一瞬。
幸せを感じる一瞬。
幸せを実感できる一瞬。
たった1回のキスでここまで俺を幸せにできる存在。
「んもぉ!!早く着替えてきなさい!!」
「はぁい。」
母親のような口ぶりのに子供のような口ぶりで返す俺。
言われたとおりに着替えに行く。
俺にはが必要なんだ。
どんなにが心配してるのを知っていても。
どんなにが泣いているのを知っていても。
俺の隣にが必要なんだ。
辛いかもしれない。
逃げ出したいかもしれない。
だけど・・・。
絶対にだけは守る。
何があってもどんな敵が来ても。
お前だけは俺の命に代えても守ってみせるよ。
こんなこと言ったらに怒られそうだな・・・。
生きててくれなきゃ困る・・・って。
でも、そんなだから・・・・。
好きになったんだけどねぇ?
ねぇ、分かってる?
