1年じゃ足りない。







もっともっと、時間が欲しい。




































笑顔と一緒に時間に任せて






































誰もいない原っぱ。

いるのは私とシカマルだけ。

二人でぼー・・・っと空を見上げてる。

「もうすぐ・・・だね。」

「何が。」

私の言葉にシカマルがめんどくさそうに聞いてきた。

「分からないの?」

「分からないから聞いてんだろ。めんどくせぇのに・・・・。」

本当に面倒だったら、絶対聞き返してこないのに。

無視してればいいだけなのに。

「ま、いいや。」

「だから、何がもうすぐなんだよ。」

なんだかんだ言いながら、気にしてるのがシカマルなんだよね。

シカマルの様子についくすくす笑ってしまう。

「もうすぐ・・・・1年・・・なんだなぁ・・・・って。」

私とシカマルが付き合いだしたのは、1年前の春。

「あー・・・もうそんなになるのか?」

「もうって、まだ1年だよ?」

「1年付き合ってりゃ、十分だろ。」

途端、私の顔から笑みがなくなる。







シカマルはもう十分なの?

私と一緒にいても、もう楽しくないの?







幸せじゃないの?









「・・・・そんな顔・・・すんなよ・・・・。」

シカマルの手が私の頭をぽんぽん・・・と叩いた。

よっぽどひどい顔、してたのかな・・・。

私はなんでもすぐ顔に出る。

だから、何を考えてるのかすぐバレる。

「互いのこと知るのに、1年あれば十分だろ?」







なるほど、そういう意味の「もう」なのか。







「・・・そうだね!」

シカマルの首に抱きついた。

「・・・・現金なヤツ・・・。」

にやっと笑ったシカマルはちゃんと私を受け止めてくれた。











空が青い。









「シカマルは・・・・。」



「あぁん?」



「いつも冷静で、めんどくさがり屋で。」



「いきなり、なんだよ。」



「生意気で・・・・だけど、本当は・・・・。」



「・・・・・本当は?」



「冷静に見せかけて内心は熱くて、

 めんどくせぇ・・・って言いながらも、やる時にはちゃんとやって、

 ・・・・誰よりも優しくて、なかなか素直になれない人・・・。」



「・・・・・よく見てんじゃねぇか。」



「・・・・・私のこと、どれくらい知ってる?」



は・・・短気で強気でオテンバでじっとしてられなくて、

 すぐ泣くくせに、すぐ笑って、ドジで、マヌケで・・・。」



「・・・・怒られたいの?」



「最後まで聞けって。」



「んじゃ、最後まで聞いたらぶっとばすね。」



「・・・・・・・・。」



「続き、早く。」



「・・・・自分のことより他人を優先しちまうお人よしで、

 人のために泣いて、人と一緒によく笑って、

 ・・・・ホント、見てて飽きねぇよな、って。」



「・・・・それって褒められてるの?」



「さぁな。」




シカマルが体を起こした。

つられて私も体を起こす。





「・・・・あっちゅう間・・・・だったな・・・。」



「ホントだね。」





もっと、ずっと、これからも。

シカマルとこうやってのんびりしていたい。





「・・・俺・・・・あ、やっぱいい。」



「言いなさいよ。」



「めんどくせぇ。」



「・・・・言ってよ。」



「笑わねぇ?」



「笑わない。」





様子を伺うように私を見るシカマル。

かわいいヤツ。





「・・・俺、忍だからよ・・・。」



「・・・・うん?」



「今はまだ中忍だけどよ・・・。

 そのうち・・・・上に上がってったら・・・・。

 里にいる時間って・・・少なくなると思うんだよな。」



「・・・うん。」



「今もたまに遠征とかあるし・・・。」





シカマルはその頭脳を評価されて中忍にもかかわらず危険な任務に呼ばれる。

私はその背中をいつも笑って見送っている。





心では泣きたいほど心配してるのに。





「こういう話・・・あんまにしたくねぇんだけど・・・。

 死にそうになったり、諦めそうになるときも・・・あるんだわ。」



「シカマル、諦めるのは早いもんね。」



「いくら頭使ったっていい方法が浮かばねぇ。

 こりゃお手上げだ・・・・ってなるんだよ。」





シカマルは頭がいい。

そのシカマルが言うくらいだから・・・・。

本当に・・・どうしようもないんだろうな・・・。





「んで、諦めかけたとき・・・・浮かぶんだわ、が。」



「私?」



「・・あぁ。なぁんも浮かばなくなった頭ん中で・・・。

 が笑ってんだよ・・・。

 そしたら・・・・もぅ・・・意地でも里に戻ってやるって。

 柄にもなく我武者羅になってんだよなぁ、不思議なことに。」





私の笑顔。

それだけでシカマルが生きるために必死になってくれる。





「里で・・・・が待っててくれるってだけで・・・。

 俺には戻らなきゃならねぇ場所があるって・・・実感できんだよ。

 この1年・・・そうやってきたから・・・今、俺はここにいる。」



「シカマル・・・。」



「・・・・ありがとな。」





ヘヘッと笑ってシカマルは照れたように鼻をかいた。





「・・・・好きになってくれて・・・ありがとな。」



「・・・好きでいさせてくれて・・・・ありがとう。」





自然と・・・口からこぼれていた。





「・・・・・私、シカマルだから・・・。

 好きになったのがシカマルだから・・・。

 ずっと笑っていられたんだと思うの。

 シカマルがいてくれたから・・・。

 だから・・・・だから・・・・。」





「・・・・・あん?」





「私、これからも、ずっと、ずぅぅぅぅっと、笑ってる。

 シカマルのために、シカマルが戻ってこれるように、ね。」





「・・・・・・・・。」





「たから、シカマルは絶対里に戻ってこなきゃだめだよ?」





「・・・・強引なヤツ・・・。」






シカマルが手を伸ばして、私の頭を引き寄せた。

私もそれに従う。





そっと優しい、キス。





「・・・俺の知らねぇ部分、まだありそうだな。」



「あるかもね。」



「1年じゃ全然足んねぇよ。」



「じゃ、もっと付き合ってみるってのがいいと思いますよ?」



「・・・・めんどくせぇ・・・。」















優しく愛しさに包まれた、長い、キス。






















































1年じゃ足りない。







もっともっと、時間が欲しい。







あなたを知るには、いっぱい時間が必要。







2年?3年?







5年?10年?







あなたを愛し続ける限り・・・ね?















はい、シカマル短編キリリクです。
20500Hitしていただいたゆう様に捧げます。
「シカマルで内容はお任せ」ということだったので・・・。
今回、ほのぼの甘めにしてみました。
そして思ったことは・・・。
シカマル、偽者だぁ・・・・。
ごめんなさい!!ゆう様!!
遅くなってしまいましたが、もらってください!!!

ゆう様のみお持ち帰りオッケーでぇす。