私には あなたしかいない
あなたには 私しかいない
消え入る月に照らされて
今にも消えそうな月。
ただそれを見ただけで、切なくなってしまった。
3年前のあの夜。
私の大切な人は、行ってしまった。
たった1つの約束を残して。
コン・・・・。
何かが窓に当たった。
猫かな?
コン・・・。
まただ。
気になって窓を開けてみた。
「。」
「サスケ!」
下には幼馴染のサスケがいた。
「ちょっと・・・いいか?」
「あ・・・ちょっと待って。そっちに行くから。」
「いや・・・いい。俺が行く。」
そう言って、ぴょん・・・と飛び、窓枠にまで来た。
「今・・・何してた?」
「んー・・・特になにも。ぼーっとしてた。」
「お前、それ得意だもんな。」
「バカにしたでしょ。」
くすくす笑うサスケ。
「・・・・何か・・・あったの?」
「・・・・どうして?」
「・・・なんか・・・サスケ・・・今にも泣きそう。」
そう思った。
笑ってるけど、それは泣きたいのを我慢してるような・・・。
「・・・・泣くわけねーだろ、ウスラトンカチ。」
「・・・・本当に?」
「・・・・あぁ。」
笑ってみせてるけど・・・・私にはどうしても・・・泣きそうにしか見えなかった。
「・・・・あのな・・・・。」
「・・・・ん?」
「・・・・俺、行かなきゃならねぇ・・・。」
サスケの顔から笑みが消えてた。
「・・・・・・どこに?」
「・・・・・・・・・・・。」
サスケが唇を噛んだ。
「・・・・いつ?」
「・・・これから・・・。里を抜けるのに手引きしてくれるヤツが待ってる。」
「・・・急・・だなぁ・・・・。」
「・・・・悪い・・・。」
サスケがイタチさんを追いかけてるって知ってる。
イタチさんに復讐するために、強くなろうとしていることも。
そのあまりにも我武者羅すぎるサスケをずっと心配してた。
夢中すぎて、力を求めるあまりに方向を誤りはしないか・・・って。
だけど、サスケには仲間ができた。
たくさんの、仲間。
だから、安心してた。
安心してた・・・のに・・・。
「・・・もう・・・里には戻ってこないの?」
「・・・・・。」
「もう会えないの?」
「・・・・・。」
何を聞いても、サスケは答えてくれない。
「・・・・お前も・・・・・。」
「・・・・何?」
「・・・いや・・・なんでもない。」
「最後まで行ってよ。」
「・・・忘れてくれ。」
そう言って、サスケが窓枠から降りようとした。
「待ってっ!!」
咄嗟にサスケの袖をつかみ、そのままバランスを崩した。
目を閉じる。
「っ!!」
サスケの腕に抱えられるのを感じた。
「危ねぇだろっ!!」
そっと目を開け、今自分が地面の上に、サスケの腕の中にいることを確認する。
袖をつかむ手に力が入る。
「・・・・?」
「・・・・約束・・・して。」
「約束?」
「何があっても、必ず、生きて、会えることを。」
「・・・・・。」
「どんなときでも、サスケには私がいるって忘れないで。」
「・・・・・。」
「私、ずっと待ってるから。
サスケに会えるまで、私、ずっとずっと待ってる。」
「・・・・・・。」
「お願い・・・・約束して。」
なかなか頷いてくれないサスケに詰め寄る。
「・・・・・お願い・・・。」
「・・・・分かった。」
「本当?」
「・・・・必ずお前に会うために、俺は生きる。
何年かかろうと、必ず、お前に会いにくる。・・・・約束だ。」
「・・・・・サスケ・・・。」
視線が絡む。
そっと引き寄せられ、抱きしめられた。
サスケの後ろに、今にも消えそうな月が夜空に浮かんでいた。
「・・・・・・・・俺を・・・・忘れないでくれ・・・。」
1度体が離れ、今度は顔の距離がなくなっていく。
私も、そっと目を閉じた。
切ない、別れの、キス。
「・・・・じゃ・・・。」
サスケは姿を消した。
翌日、サスケが抜け忍となり、里を抜け、それを追いかける特別チームが組まれたと聞いた。
それはサスケの仲間と呼べる人たちで。
誰もがサスケを連れ戻すと決意して行った。
お願い、サスケを傷つけないで。
そっとしておいてあげて。
今のサスケに何を言っても戻ってこない。
だから、サスケの気が済むまで自由にさせてあげて・・・・。
あの夜から3年がすぎた。
あの時・・・。
サスケは私について来ないか?って言いたかったんだと思う。
私もきっと、言われたら素直に頷いていた。
だけど、サスケは言わなかった。
どんなときも、何をするにも、一緒だったのに・・・。
それだけ、サスケの進む道には危険がいっぱいあるってことで・・・。
私が行ったところで足手まといなんだね。
だから、サスケは最後まで言わなかった。
だから、私も頷けなかった。
私はずっと待っている。
サスケが会いにきてくれることを。
約束したんだ。
会いにくるって・・・。
忘れないって・・・。
サスケは生きている。
私のことを忘れずに。
確信は、ある。
「ー。届け物よー。」
「はぁーい。」
母から小さな包みを受け取り、部屋に戻ってそっとゆっくり開ける。
『
』
白紙の手紙。
あれから毎年、この日に届く。
誰からの贈り物か、私は知っている。
サスケは筆不精でテレ屋だから、何を書いたらいいか分からなかったんだろぉね。
だけど、大丈夫。
私は、分かるから。
サスケが生きていてくれることが分かれば、もう十分だから。
私には あなただけ。
あなたには 私だけ。
傍にいなくても、いつもあなたを思ってる。
はい、サスケ短編でした。
21000Hitのあかね♪様からのリクエストです。
遅くなってすいませんでした!!
内容は「サスケでお任せ」でした。
なので、いざサスケに挑戦・・・・!!
完成して、「うっわー・・・偽者がいるよ。」
あえなく撃沈・・・。
あかね♪様・・・・申し訳ございません・・・。
これでも精一杯作らせていただいたのですが・・・・。
あかね♪様のみお持ち帰りオツケーです。