誰よりも好き
誰よりも愛してる
あなたがどこにいようと
あなたが何をしてようと
いっぱい傷ついて
いっぱい泣いて
それでもこの気持ちは誰にも止められないんだ
例え、それがあなたであっても・・・。
好き
上忍待機所のソファに体を預けて、いつの間にかウトウトしてた。
あー・・・最近忙しかったからなぁ・・・。
やっぱ自分の限界、超えてたのかも・・・。
まぶたが重いよぉ・・・。
「こーら。」
突然頭上から聞こえた声にパチッと目を開ける。
「何寝てんの。」
「カカシかぁ・・・・・。」
その人物を確認して、再び目を閉じる。
「こらこら!折角起こしてあげたんだから、また寝ちゃだめでしょ。」
「えへへぇ・・・・・。」
「まったく・・・。そんなに疲れてるなら、ここに来なきゃいいのに・・・。」
カカシの呆れた顔。
疲れてもここに来る理由。
それはカカシに会いに。
下忍とチームを組むようになったとしても、上忍としての任務もこなしているカカシ。
ここで待たない限り、会えなさそうだから。
「熱いから気をつけてね。」
差し出されたのはコーヒー。
しかも、苦いのが苦手な私のためにちゃんと砂糖とミルクが入ってる。
「ありがとぉ。」
あちち・・・と言いながら一口飲む。
んー・・・やっぱカカシの砂糖の入れ具合って最高。
「ん?どーしたの?」
気付けば、カカシがずっと私を見てる。
「・・・いや、なんでもないよ。」
「えー・・・・気になるよ。」
「が気にすることじゃないから。」
「そう言われると余計気になるってば・・・。」
「んじゃ、忘れてください。」
「無理です。」
ちっとも前に進まない会話。
だけど、私はこの他愛もない会話のやり取りが好きだったりする。
「って、今度はいつ休み?」
「んー・・・予定では1週間後?」
「俺に聞くなって・・・・。」
「多分そんくらい。」
「そっか・・・・・・。」
黙り込むカカシ。
「んじゃ、にお願いしよっかな。」
「何を?」
きょとん・・・・としてしまう。
「一緒に買い物に付き合ってほしい・・・んだけど・・・・。」
「へー・・・誰に?」
と、聞いた後、後悔した。
だって・・・・。
カカシが・・・・あのはたけ カカシの顔がみるみる赤くなるんだもん。
これは、ひょっとして、ひょっとすると、ひょっとしなくても・・・・。
「ちょっと・・・・大切な人に・・・・。」
めずらしく歯切れの悪い返答。
「・・・へー・・・・。」
無意識に返事をした。
「カカシにそんな人がいたんだぁー・・・。」
「いや、まだ付き合ってるわけじゃないんだけど・・・ね。」
「・・・そっかぁ・・・・。」
こんなに顔を赤くして、幸せそうに彼女のことを話すカカシなんて・・・・。
見たことない。
いつもなら飄々としながら「彼女できた」ぐらいに言うのに・・・。
今回は・・・・マジ・・・・ってことか。
「そっか・・・・うん・・・・そっかそっか・・・・。」
「何を一人で納得してるの。」
「いやいや、こっちの話。いいよ。買い物付き合ってあげる。」
「悪いね。折角の休みなのに。」
「一楽のラーメン10杯で勘弁してあげる。」
私は笑顔でカカシの肩をバシバシ叩いた。
「んー!だめだ。今日はもう眠い。帰って寝よ。」
「お疲れさん。」
「オツカレー。」
私は伸びをして待機所から出た。
そして・・・・。
溢れる涙。
私はずっとカカシを見てきた。
カカシに彼女ができたとしても・・・。
同じ上忍として一緒にいられるなら・・・って。
だって、彼女ができても私との関係は変わらなかったから。
だけど、今回は違う。
カカシはマジだ。
あんなカカシ、見たことない。
ついに・・・・見つけちゃった。
カカシが本当に好きな人。
きっと、カカシは彼女だけを見つめ始める。
私に背を向けて。
それでも、カカシを好きなことに変わりはない。
カカシが幸せになれるなら・・・・。
私はどんな協力も惜しまない。
カカシに大切な人ができれば・・・・・。
私はきっと、次の恋に進める。
ちくしょお。
約束通り、私はカカシと一緒に街の中を歩いてた。
「んー・・・いい天気・・・。」
「こらこら、真剣に考えてよ。」
空をぼんやり見上げてる私の視界にカカシのどアップが写る。
「んー・・・いい男♪」
「でしょ♪」
「はいはい・・・・。」
ノリの良さは最高ですよ、カカシさん。
あれだけ決心した私の心は今、微妙に揺れてる。
カカシを幸せにしてあげたい。
でも、
カカシを誰にも渡したくない。
んー・・・どうしよう。
「これなんか、どお?」
カカシが持っているのは小さな手鏡。
かわいい装飾がされていて持ち運びにも便利そう。
「いいねぇ。あ、こっちもいいかも。」
私が持ち上げたのはこれまた小さな写真入れ。
ポケットに入れられる大きさで、革でできてて丈夫そう。
「あれもかわいいねぇ。」
「こっちもかわいいでしょ。」
「んー・・・でもこっちもよくない?」
「あ、それいいねぇ。」
「あ!あっちにもっとかわいいのがある!!」
・・・・。
決心をするどころではなく・・・。
自分の趣味で店の中の物を物色してしまった・・・・。
結局、悩みに悩んだ結果、カカシは最初に選んだ手鏡と写真入れを買った。
「今日は悪かったね。つき合わせちゃって・・・。」
「いいよ、私も楽しかったし。でも、なんで私なの?」
「・・・・え?」
「買ったものっておもっっっっっきり私の趣味だったでしょ?
彼女の趣味とかもあったでしょーに・・・・。」
「いやー・・・・実は彼女とって、同じ趣味してるんだよね。」
カカシがにっこり微笑む。
あー・・・だから私・・・・か。
同じ趣味をしていて・・・・・カカシは彼女を好きになった。
・・・・しょうがない・・・か。
私に少しでも告白する勇気があったら・・・。
また違ってたんだろうけど・・・さ。
「じゃ、用事は済んだから、私帰るね。」
「え?夕飯ぐらい、奢るよ?」
「うーん・・・奢ってくれるのはうれしいんだけど・・・・明日、朝っぱらから任務なんだわ。」
「そっか・・・。」
「うん、じゃね。」
「おう。気をつけて帰れよ。」
カカシに手を振って、私は家に帰る。
しばらくして・・・・カカシの歩き出す気配がした。
ねぇ・・・・どこに行くの?
彼女のトコロ?
「あー・・・・ヒマだ・・・・・。」
あれからずっと任務で忙しかった私は、今、待機所にいた。
しかも、誰もいない。
みんな、任務かい。
「・・・・寝よっかな・・・・。」
「それじゃ待機してる意味、ないでしょ。」
「うわっ・・・・!!!!」
ゴロッと横になったソファの後ろからカカシの声がした。
「いるなら声ぐらいかけなさいよ!!」
「いやー・・・一人で退屈そうにしてるがおもしろくてね・・・。」
くっくっくっ・・・・と笑いを堪えてるカカシ。
仕方ないから私は体を起こした。
お互い、背もたれに身を預けて・・・。
背中越しの会話。
「悪趣味・・・・。」
「何とでも?」
「・・・・・・ケッ!!」
「女の子がそんなこと言うんじゃないの。」
舌打ちした私にカカシが呆れてる。
「あ、そーいえば・・・・彼女とうまくいった?」
ずっと気になって気になって、気にしないようにしてた事を聞く。
「あー・・・・まぁ・・・・・。」
カカシが頭をかいた。
それが私には・・・・幸せそうに感じて・・・。
足元が崩れていく感覚に囚われる。
視界が急激に暗くなる。
「これから・・・・渡すんだけど・・・ね。」
「・・・そっか・・・・。」
「彼女、なかなか忙しい人でねぇ。」
「・・・・ふーん・・・・・。」
「やっと会えた・・・と思っても、その他大勢がいたりするから・・・。」
「・・・・へぇー・・・・。」
「・・・・?」
生返事しかしない私に違和感があったのか、カカシがチラッと振り返ったのが分かった。
「ま、カカシなら大丈夫だよ。絶対オッケーされるって。」
「・・・・そぉ?」
「そーだよ。百戦練磨のカカシでしょお?自信もって行きなさいよ。
つーか、その他大勢がいたなら、得意の忍術で彼女だけ連れ出すとか!」
思考回路は止まっているのに口だけは動く。
「大丈夫!!私が保証する!!ガツーンと言ってこいって!!!!」
「・・・・・・・・泣いてる?」
カカシの静かな声が・・・・背中越しに聞こえた。
うん・・・・私、泣いてる。
カカシに気付かれないようにしてたのに・・・・。
いつもは私の気持ちに気付かなかったのに・・・・・。
どうして今、気付くの?
「どうした?」
カカシの優しい声。
「どこか痛いのか?」
うん、胸が痛いよ・・・。
「病院、行くか?」
失恋如きで病院なんか行ったら、恥だよ。
「何かイヤなことでもあった?」
ええ、大いにありましたよ。
「家に帰るか?」
・・・・・・うん、帰りたい。
カカシに大切な人ができる前に。
「・・・・・っ!!」
驚いたカカシ。
「・・・・しばらく・・・・・このままでいさせて・・・・。」
私は・・・・振り返ってカカシを背中から抱きしめていた。
「・・・・・?」
「・・・大丈夫・・・・気にしないで・・・・。」
「・・・・気になるってば。」
「・・・じゃ・・・・忘れて・・・・。」
「・・・・・分かった・・・・。」
力の入った私の腕にカカシの手が乗った。
どれぐらいの時間、私は抱きついてたのかな・・・。
しかも、初めてカカシに泣いているところを見られた。
泣き止んではいるものの、顔を上げられない。
「・・・・・大丈夫か?」
泣き止んですることに気付いていたカカシが頭をポンポン・・・と叩く。
「へへ・・・ごめんね。」
そっとカカシから離れた。
顔を・・・・見せないように。
「ごめん、カカシ・・・・私、今日はもう帰るよ。」
「え・・・・。」
カカシの戸惑った声。
そりゃそーだ。
これから彼女にプレゼントを持っていくんだもんね。
一人にされたら困るよね。
だけど・・・・。
彼女に会いにここを出て行くカカシを見たくない。
「じゃ、帰るね。」
「ちょっ・・!!!!!」
私が立ち上がり、出口に走るのと、カカシが立ち上がり、慌てて私の腕を掴むのと。
どっちが早いかというと・・・・。
当然カカシの勝ち。
「に話があってここに来たんだ。」
「もう十分元気付けてあげたでしょ?」
「そうじゃなくて・・・・。」
「まだ足りないの?やだなぁ、カカシってけっこう臆病さん?」
「・・・・・・。」
「カカシなら大丈夫だから。安心して告白してきなって。」
「本当に?」
「本当だって。私がカカシにウソついたことある?」
「いっぱいある。」
「あ、そっか・・・・。」
よくカカシを冗談で騙してたっけ。
もしかして信用ない?
「なぁ、・・・。」
「あーもう、分かったから。私がここに残るからカカシ、行ってきていいよ。」
それは私にとって一番見たくない光景。
だけど、今すぐカカシと離れられるならなんだっていいよ。
「カカシが幸せになってくれれば、それでいいんだから。」
「あ、そ・・・。」
小さく呟いた声が聞こえたのと・・・・。
カカシに腕を引かれたのは・・・・。
同時。
「好きだ。」
気付けば目の前はベストでいっぱいになって・・・。・・・。
いや、正確にはカカシに抱きしめられていて・・・・。
耳元に聞こえたカカシの囁き。
「・・・・・・え?」
全部に対しての「え?」だ。
「俺はお前が好きなの。」
「・・・・・は?」
「いや、は・・?じゃなくて・・・。」
「だ、だって、カカシに大切な人が・・・。」
「だから、それがなんでしょーが。」
「・・・・・・へ?」
「だから、こういうことよ。」
カカシの手が私のアゴを持ち上げ、すばやく口布を下ろして・・・・。
柔らかい感触。
頭が混乱してきた。
だって、今、私はカカシとキスしてる。
しかも私を「好きだ」って?
これから大切な彼女にプレゼントを・・・・。
「・・・これ・・・・受け取って?」
離れた唇から囁かれた言葉。
カカシの手には可愛らしくラッピングされた包み。
もしかして・・・・。
カカシの大切な人って・・・・。
「私・・・・?」
「ずっと気付かなかったでしょ。俺はずっと見てたのに。」
カカシのはにかんだ笑顔を見て・・・・。
涙が出た。
「ちょっ・・・・?なんで泣くの!!!」
「・・・うれ・・・・・。」
泣き始めた私の言葉はボロボロ。
「うれ・・・・何?」
「・・・・・しい・・・・・。」
「そっか・・・・。」
どこか満足気な笑みを浮かべたカカシは・・・・。
また私を抱き寄せた。
「ずっと・・・・が好きで・・・・見てた。」
「・・・・私も・・・・カカシが好きで・・・・・・・。」
「うん、気付いてた。だから、その感謝の気持ちでって・・・・。
大したものじゃないけど、に何かプレゼントしたかった。
それが代えってを混乱させちゃったみたいだね。ごめんね。」
「もう、いい・・・・。ここにカカシがいてくれれば・・・。
なんだっていいよ・・・。」
「一緒に・・・・いよう。」
「ん・・・・。」
カカシからもらった手鏡で身だしなみをチェックして、カカシに会いに行く。
カカシからもらった写真入れには、カカシと私、二人の写真が入ってる。
誰よりも好き
誰よりも愛してる
あなたがどこにいようと
あなたが何をしてようと
いっぱい傷ついて
いっぱい泣いて
それでもこの気持ちは誰にも止められないんだ
例え、それがあなたであっても・・・。
3333Hitの海里様のリクエスト。
内容は「カカシで甘め」でした。
海里さん!遅くなってごめんなさい!!
そして、受け取ってください♪
今回はカカシさんのちょっと純情っぽいところ(顔を赤くする)を出してみました。
こんなウブにカカシさんもいいんじゃない?
・・・・と、思ってるのは私だけ?