「おいで。」


差し出された大きな手。
見上げれば、片方しか見えない目が切なそうに微笑んでいた。
微笑んでいるのに、泣いている。


あぁ・・・・泣いてるのは私だけじゃないんだ。


ゆっくりと手を重ねると、その手は私の手をすっぽりと包み込んだ。
暖かい、けど、冷たい手。


「・・・・行こう。」


小さく呟かれた言葉に小さく頷き返す。
引かれるままに、歩き始めた。




































罪ト罰ヲ共ニ



































大企業まではいかないけど、そこそこの企業に勤める私、23歳。
つい1ヶ月前、恋人が亡くなった。
木の葉の里の忍―――上忍だった彼。
優しくて、仲間からも好かれていて、太陽のように笑う人。
そんな彼が・・・・。
仕事中に亡くなった・・・としか聞いていない。
だけど、それでいい。
それ以上聞いてもしょうがない。


だって、彼は忍だったんだもの。


私の同僚、彼の同僚は私を慰めた。
上司なんか、1週間の休みをくれた。
私は曖昧な笑顔を返す。



ゴメンナサイ。



心の中で呟きながら。













































会社を出て、馴染みの喫茶店に入った。
体が冷えていて、温かいココアを注文した。
ココアが運ばれるまで、窓の外を眺める。


「・・・・・・クリスマス・・・・か。」


外ではいろんな店がクリスマス色に染まりつつあった。
赤や、緑や、金色や。
電飾で飾り立てている。


くすっ・・・と笑ってしまった。


だって、クリスマスまでまだ1ヶ月以上もあるのに。
今からそんなに頑張っていたら、当日はどうなっちゃうの?


ココアが目の前に置かれた。
湯気の立っている暖かいココア。
甘くて、暖かい、飲み物。
私の好きな飲み物。


一口、飲む。
やっぱり、甘い。
だけど、熱すぎて一気に飲めない。
フーフーと息を吹きかけていて・・・・やめた。
そのうち自然と冷める、それを待っていればいいだけのこと。


「飲まないの?」


目の前に現れた忍が聞いてきた。


「飲むよ。」


忍が前に座ったのを見届けて、また一口、飲んだ。
やっぱりまだ熱い。


「猫舌なんでしょ?」
「体が冷えてるの。」
「そ。」


忍は私の手からココアを取り上げて、一気に飲んでしまった。


「・・・・・甘い。」
「当たり前でしょ。ココアなんだから。カカシこそ、甘いの苦手なくせに。」
「ま、何事もチャレンジってことで。」


カカシが口直しに水を飲んだ。


「・・・・・・・行こうか。」


そう言って、手を差し出してきた。


「・・・・・そうね。」


差し出された手に自分の手を重ねた。
そのまま二人で店を出て夜の街へと歩き始めた。



















彼の部屋で抱き合う。
お互いの熱が交じり合い、どちらの熱か分からなくなる。
求め、求められ。
聞こえるのはお互いの甘い息遣いと、ベッドの軋む音。


今、この世界には私たちしか存在しない。
























「・・・・もうすぐ・・・49日だ。」
「・・・・そうね。」
「参列・・・するの?」
「・・・・・カカシは?」
「・・・そりゃ・・・・・・。」


もちろん・・・って言いたいんだと思う。
だけど、言えるわけがない。
だって。


仲間の恋人と関係を持っちゃってるんだもの。
どんな顔して49日に参列しろってのよ。


・・・・・私も・・・だけどね。












































会社で資金の不正流出が発覚した。
それは内部告発で発覚したものだった。
犯人は解雇。
当然会社を恨み、嫌がらせをしてきた。
最初はいたずら電話から始まって、エスカレートしていき。
最後には社の女性をストーカーするところまでいった。
手に負えなくなった偉い人たちは木の葉に依頼し、問題を片付けた。


ストーカーされたのは、私。
依頼されてきた忍が、カカシと・・・・彼だった。


事件が片付いた後も、二人は私を心配してよく様子を見に来てくれた。
そのうち仲良くなって・・・休日は三人で出かけたり。


そして、カカシが離れた。
私と彼が付き合い始めたから。


彼は本当に素敵な人だった。
恋人として、申し分のないくらいに。
一緒にいて、幸せも感じた。



だけど。



私はいつも太陽のように笑う彼よりも、月のようにただ静かにそこにいるカカシのことを考えていた。
カカシが離れてから、益々カカシのことを考えるようになっていた。


だけど、彼と別れることも出来なかった。
言える訳がない。


『本当はあなたの仲間が好きなんです』なんて。


きっと彼は分かってくれる。
だけど、彼の太陽のような笑顔を曇らせたくない。
彼の笑顔を守りたい。


裏切りだ。
偽善者だ。


私は、周りのみんなを騙している。
恋人に抱かれながら別の人を想い、
恋人を傷つけたくないからと言ながらも、別の人への想いは強くなるだけ。


罪悪感で、いっぱい。


ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・・・・。
何回心の中で呟いたことだろう。








そして、彼が死んだ。
もう2度と会うことはない。






罪悪感が溢れて、私の全てを飲み込んでいく。









































「ねぇ・・・・何回目・・・だと思う?」
「・・・・さぁね。数えたことないから。」


私たちは何回抱き合ったのだろう。
間違いなく、両手では足りない。
この1ヶ月で。


「・・・・嫌にならないの?」
「・・・・・はなってるの?」


私を見る目が笑ってる。
分かってるくせに。


「・・・・嫌に・・・なってる。」
「・・・・・。」
「・・・・こういうことをしてる自分が・・・・・嫌い。」
「・・・・・俺も・・・だよ。」


キスしてきた。


「あいつの恋人に・・・・こんなことしてるんだから・・・ね。」
「・・・んっ・・・・・・!!」


カカシの手が私の体をなで上げた。



私は私を。
カカシはカカシを。


嫌ってる。



罪悪感にまみれながら。
快楽を貪る。
それはどれほど罪深きことなのか。


もう私には・・・・・ワカラナイ。



























あいつが死んだとの知らせを聞いた夜。
私はカカシに電話していた。


「もしもし。」
「・・・・・たい。」
「・・・・?」
「・・・・会いたい・・・・。」
「どうした?何かあったのか?」
「・・・・カカシに・・・・会いたい・・・。」
「今どこにいる?」


無意識だった。
自分のしていることに気付いて、慌てて電話を切った。


やばい。
カカシが来る。


間違いなくカカシはここにくる。
私は薄着のまま、雨の降る真夜中の町に飛び出していった。













「・・・・・見つけた。」


カカシが私を見ている。


「こんな雨の中走らせやがって・・・・。」


傘も差さずに走ってきたらしく、全身濡れて肩で息している。


「風邪引くでしょ。」


カカシが1歩近づいた。
私は1歩後ろに下がった。


だめ。
近づいてはだめ。
今、ここで、近づいたら。
私はとんでもないことをする。



不意にカカシの真剣な目が笑った。


「おいで。」


差し出された大きな手。
見上げれば、片方しか見えない目が切なそうに微笑んでいた。
微笑んでいるのに、泣いている。


あぁ・・・・泣いてるのは私だけじゃないんだ。


ゆっくりと手を重ねると、その手は私の手をすっぽりと包み込んだ。
暖かい、けど、冷たい手。


「・・・・行こう。」


小さく呟かれた言葉に小さく頷き返す。
引かれるままに、歩き始める。











































49日は何事もなく終わった。
私もカカシも、真っ黒な服を着て。


「なぁ、このまま飲みに行かねぇか?」
「・・・・こんなときに何言ってんの。」


カカシとカカシの仲間のアスマさんの会話が聞こえた。


「こんなときだから・・・だよ。
 あいつを笑って送り出してやりてぇんだ。お前なら分かるだろ?」
「・・・・あいつは・・・いつも笑っていたしね。」
「んじゃ、行こうぜ。あ、、お前さんもどうだ?」


アスマさんが私に手を振った。
カカシと目が合う。


「私は・・・・・遠慮します。」
「んなこと言うなよ。思い出話に華でも・・・。」
「・・・・失礼します。」


頭を下げてその場を立ち去る。



思い出話?
そんなの、ない。
だって、いつもカカシのこと考えていたから。
カカシしか見ていなかったから。


立ち止まって、空を見上げた。
太陽がぽかぽかと体を暖めてくれる。


ごめんね・・・・。
こんな恋人、嫌だったよね。


涙が1粒、零れた。









































お風呂にお湯が溜まっている。
お湯の中に左手を浸す。


お湯にゆらゆらと紅い筋ができた。


その様子をぼんやりと見つめながら。
そっと目を閉じた。




ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ・・・・・。
何度謝っても、足りない。
私はずっと騙してきたの。


「好き」と「愛してる」は一緒だと思っていた。
だけど、本当は全く違った感情だった。
気付くのが遅かったの。


このままじゃだめ。
私はどんどん罪を犯してしまう。
罪を犯しているという感覚すらなくなりそうなの。


あなたを「好き」な気持ちより。
カカシを「愛」してる気持ちが勝ってしまいそうになるの。。


許せない、自分が。
こんな自分、大嫌い。


自分の罪には、自分で罰を。


このまま眠ろう、永遠に―――――――。









体が強い力で後ろに引っ張られた。
目を開ける。


っ!!」


カカシが怖い顔してる。
私を抱き上げ、ソファに座らせて。
タオルで左手首の傷口をぎゅっと押さえた。



触れてる手が暖かい。
ううん・・・熱い。


熱すぎて、用意に触れてはいけない手。
甘くて、くせになってしまった手。



「・・・・どうして・・・・来たの?」
「様子かおかしかったから。適当にアスマつぶして早めに終わらせてきた。」


冷たい淡々とした言い方。


「・・・・・・怒ってるの?」
「・・・・・・・ま、そりゃ、ね。」
「・・・・・・どうして?」
「・・・・・こんなことしてるから。」
「・・・・・・償わなきゃ・・・・。」


心の中で何かが弾けた。


「私は・・・償わなきゃ・・・・彼に・・・・。」
「・・・・何を?」
「ずっと・・・ずっと・・・・騙してた・・・・。
 優しかった彼に・・・ずっと甘えてた・・・。
 大切に扱われる心地よさ・・・。
 優しく囁いてくれる甘い言葉・・・。
 一人ではないんだと実感できる安心感に・・・。」


恋人として、私に沢山のモノを与えてくれた。
それなのに。


「彼を好きな気持ちに嘘はないの・・・。
 だけど、私は・・・・・。」


彼に与えていたのは―――――。


「だから私は償わなきゃ・・・・。
 彼を騙していた罪を償わなきゃいけないの・・・・。
 何も知らずに彼は逝ってしまった・・・。
 本当は私が愛していたのは・・・・・。」


カカシと目が合った。
見開かれている、カカシの片目。


「ゴメンナサイ・・・・ごめんなさい・・・・。」


愛しているの、カカシを。
止められなかった、この想い。
見ないようにしようとすればするほど。
その想いは強く、より大きくなっていった。


見ないようにして―――――彼を騙していた。


「じゃあ・・・・俺も償わなきゃ・・・・。」


カカシが笑った。


「俺も騙してた・・・・ずっと。
 のこと、誰にも渡したくないぐらい好きだった。」
「・・・・・・え?」


そんな様子、全然なかったのに。


「初めてと会った日から・・・・ずっと・・・・。」
「・・・・・・そんなの・・・聞いて・・・・。」
「言わないつもりだった。
 俺は忍で、は一般人で・・・・住む世界が違いすぎる。
 だから、俺は黙っているつもりだった。
 だけど、あいつは・・・・簡単に壁を乗り越えて、と付き合いだした。
 どれほど嫉妬したことか・・・。
 あいつの口からの名を聞くたびに、あいつの喉を切り裂いてやりたいって思った。
 あいつの手がに触れたと思うと、何度その腕をへし折ってやりたいと思ったか。
 大切な仲間に殺意を覚えるなんて・・・・俺は・・・・。」


カカシの目が閉じられた。
眉間に皺がよってる。


カカシはカカシの罪悪感に悩んでいたんだ。


を初めて抱いて・・・・幸せだった。
 でも、同時に・・・・してはいけないことをしたんだ・・・・って・・・罪悪感が残った。
 を抱くたびに・・・それは強くなる。」
「・・・・・カカシ・・・・。」
・・・・死ぬことは償いじゃない・・・・逃げてるだけだ。
 償いは生きてこそ償えるもの・・・死ぬことじゃない・・・。」
「でも・・・・・・・・。」


今ここでお互いの気持ちが通じ合ったところで・・・・・。


「俺も・・・を見ると罪悪感を感じる・・・それは同じでしょ?」


カカシも私を見る度に罪悪感を感じてしまう。
お互いにお互いを見て、罪悪感を強めるだけ。


「一緒に・・・・戦おう。一緒に苦しもう。
 離れたところにいても・・・・この苦しみを味わっているのは・・・・と俺だけ。」
「私と・・・・カカシ・・・だけ。」


離れたところで、別々に。
これ以上罪の意識を強めないように。


私たちの償いは・・・・・別々の世界で過ごすこと。
どんなに愛しくても、どんなに求めても。


「約束してくれ・・・・。
 どんなに辛くても・・・・死ぬことは償いじゃない。
 泣きたければ思う存分泣けばいい。
 一緒に・・・・苦しもう。」
「・・・・・・うん・・・・・。」


頷いた私を見て、カカシが笑った。
私も笑って、眼を閉じた。


唇に感じる、カカシの存在。


「・・・・・気持ちは一緒だ・・・・・いつまでも・・・・。」


耳元で囁かれた。
そっと目を開けると・・・・そこには誰もいなかった。


死ぬことは償いじゃない。
私は生きなきゃいけない。
この罪悪感と戦わなきゃいけない。


カカシと一緒に。


好きなのに。
お互いの気持ちは通じたのに。
それでも会う事は許されない。


いつまでも。




いつの間にか、手首の血は止まっていた。
しかも、微かに薄皮が張ってる。


医療忍術、苦手なくせに。























































あれからどれくらいたったのかな。
毎日仕事に忙殺されて時間の感覚がなくなっている。
分かるのは2度目の冬が訪れたことだけ。


「じゃ、私上がります。」


まだ仕事中の同僚に挨拶してフロアを出た。
お疲れ様ーという声だけが響いてくる。


誰も言わなくなった。
彼のこと。
もう忘れてしまったのかな。
所詮、他人の恋人のことだから?


私は覚えてる。
忘れられるわけがない。
誤った償いの痕が残っているから。


それは腕時計の下で私を見張っている。
私が馬鹿なことを考えていないか。



会社から出ると、北風が吹きつけてきた。
あまりの寒さにマフラーを巻きなおす。
足早に人ごみを通り抜ける。


「きゃっ・・・・っ!!」


足元を見ていたせいで人にぶつかってしまった。


「ごめんな・・・・・。」


見上げた人は、カカシだった。













久しぶりに昔通っていた喫茶店に入った。
注文したココアが運ばれてきた。


「久しぶり・・・・。」
「そうだね・・・・元気だったか?」
「仕事に忙殺されてる。」
「それは俺も同じ。この時期依頼が殺到するんだよねぇ。」


他愛ない話。


「ここには任務で?」
「そ。まいっちゃうよ。忍も楽じゃないよ。」
「OLだって楽じゃないわよ。」
「そりゃそーだ。」


当たり障りのない、会話。


「年末が近いとどうしてこうも忙しくなるのかしら。」
「そりゃ年末に向けて色々しなきゃいけないことがあるからでしょ。」
「もっと余裕もってやってればこんなことにはならないわよ。」
「こうなるとは誰も考えてなかったんじゃないの?」


このまま終われば、それでいい。
償いは・・・・済んでいない。


「毎年同じこと繰り返してるのよ?なんでわからないのかなぁ。」
「365日前のことなんて誰も覚えてないでしょ。」
「ごもっとも。」
「でしょ?」


全ては・・・・終わっていない。


ココアを一口飲んだ。
ほどよい暖かさで、つい一気に飲み干した。


「じゃ・・・・そろそろ行くわ。」
「・・・・・そ。」


席を立った。
同時に、手を掴まれた。


心臓が凍りつく。


「・・・・・・・・元気・・・・だったか?」


さっきと同じ質問。
だけど、言葉の裏にある本当の意味。


「・・・・・・元気・・・よ。」
「・・・・・・・そっか・・・・・・。」


手が強く握られた。
私も握り返す。


今、このまま別れてしまえば。
再び始まる償いの日々。


「・・・・・・偶然会えたこの瞬間さえも・・・・俺たちは罪を犯しているのか・・・?」
「・・・・・・分からない・・・・・。」
「・・・・・・俺たちの償いは・・・・いつまで続くんだ・・・・?」
「そんなの・・・・っ!!」


私だって分からない。
できることなら今この瞬間に終わらせてほしい。
もう2度と手を離したくない。


それでも私たちは・・・・・・。


「俺たちはもう十分償った・・・・・そう思わないか?」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・誰に許しをもらえば・・・・。」
「・・・・・・・でも・・・・だめなのよ・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・私たちは・・・・・だめなのよ・・・・・。」


握られた手から、逃れる。
そのまま店を出た。
カカシを見ないようにして。










ちらちらと雪が降っていた。
道も、家も、真っ白になっていく。
その中をとぼとぼと歩く。


仕事に忙殺されて忘れていた。
いや、忘れていたんじゃない、考えないようにしてた。


カカシのこと。


今日逢ってしまった、偶然に。
だから、考えてしまう。


いつまでこんな日々が続くの?
いつまで耐えればいいの?


終わりはくるの?


いつになればカカシに会える?
いつになればカカシに笑ってあげられる?
いつになればカカシと抱き会える?


今直ぐ、会いたい。
会って、笑って、抱きしめてほしい。


早くこんな日々は終わって欲しい。
でないと、何をするか分からない。


罪悪感が愛しさに負けてしまう。
カカシに会いに行ってしまう。


早く、早く、早く・・・・・・・。



「・・・・・・・・・・・・・・え?」


足を止めた。


罪悪感が。
愛しさに。


負けてしまう?


カカシに会いに行ってしまう?






カカシは私に会いに来たんだ。
偶然だと、任務だと嘘をついてまで。
罪悪感が、愛しさに、負けて。



「―――――――――カカシっ!!」


私は来た道を戻った。


誰かに決められて会わなかったんじゃない。
自分たちが許せなくて、自分たちで決めたこと。
誰も答えなんか持ってない。


全ては自分たちの胸の中にあったんだから。



罪を忘れてはだめ。
だけど、罪悪感に勝る強い思いがあったら。


それが――――――答え。







「カカシっ!!」


人でごった返す町の中でカカシを見つけた。
カカシは私に気付いて驚いた顔をしてる。


・・・・?」
「カカシっ!!」


勢いのあるまま、カカシの腕の中に飛び込んだ。


「どうした?忘れ物?」
「違うの!!そうじゃなくて!!・・・・・もう、いいのよ。」


カカシの顔を見上げた。


「もう・・・・償いは終わっていたの。」
「・・・・・終わった・・・・の?」
「・・・・・さっき気付いた。」
「・・・・の中で・・・・終わったの?」
「・・・・・ん・・・・・。」


カカシも気付いたんだ。
だから、私に会いに来た。
だけど、私の中で償い=罪悪感が残っていたら。
それはただ私を苦しめるだけのこと。
さっきカカシは聞いてきた。




「・・・・・・俺たちの償いは・・・・いつまで続くんだ・・・・?」




私の中で償いはいつまで続くのか。
カカシは待っててくれたんだ。


「もう・・・・いいんだね?」
「もう・・・・いいのよ。」
「本当に?」
「・・・・・また笑い会える・・・・絶対に。」
「・・・・・・愛してるよ。」
「・・・・・・私も・・・・ずっと・・・・これからも・・・・。」


愛情だけを感じて、キスをした。


全ての答えは私たちの中のあった。
それを見ようとしなかったのは。
罪の意識と向かい合おうとしなかったから。


答えはすぐ近くにあったんだね。










サイト様紹介お礼リクでぇす。
このみ様のリク「カカシの切ない系」とのことでした。
・・・・・・・・・。
なぁんか・・・・暗くなってしまいましたね・・・。
ま、早い話三角関係だったということですよ。


す、すいませぇぇぇぇんっ!!!