「上忍になったら付き合ってあげる。」



この言葉を胸に私は上忍試験を幾度と受けた。



その度に落胆する結果をもらうけど、それでも諦めない。



なぜなら私は恋する乙女!!



愛は必ず勝つのだ!!!













覚悟













私は里の中を走っていた。

手には手紙を。

ある人物を探している。





今日は任務はないはず!

・・・ってことはいつもの場所だ!



彼の行動パターンはお見通し。

任務のない日は朝から慰霊碑に行ってそのあと里を一望できる丘でのんびり読書。

そして彼の任務のシフトも裏ルートから入手済み。

(アカデミーのイルカさんを脅したんだけどね。)

丘目指して乙女は走る!













丘に到着して辺りを見渡せば彼をすぐに発見できた。

「カカシさぁぁぁぁん!!!」

私に呼ばれたカカシさんは本を閉じ、私を見つけてくれる。

「や。ちゃん。」

いつものように片手をあげての挨拶。

私もいつもなら片手をあげて挨拶。

だけど今は緊急事態!!

カカシさんの胸にダイブする。

「うわっ!ちゃん!危ないでしょ。」

「見て!これ!ほら!」

私は興奮しながら持ってきた手紙をカカシさんの顔に押し付ける。

「それじゃ見えないから!・・・・どれどれ?」

興奮している私に呆れながら私の手から手紙を受け取り読み始めた。

「えー・・・先日の上忍試験の結果、あなたを上忍と認定することとなりました・・・。

 あ、やっと受かったんだ?」

「やっと・・・は、余計です。」

「だって試験、何回目よ?」

「・・・・・13回・・・・。」

「13回目でやっと合格ですか。」

「うぅぅぅるぅぅぅさぁぁぁぁいぃぃぃぃぃ!!!」

私がウガァァァァ!と吠えると、カカシさんは笑っている。

「・・・・・カカシさん?」

「はぁい?」

「その・・・・約束・・・・覚えてる?」

「約束?」

「上忍になったら・・・・・その・・・・。」

急に恥ずかしくなって下を向いてしまう。

不意に頭上からクス・・・と笑い声が聞こえる。

「ちゃんと覚えてるよ。だからこうして待ってたんでしょ?」

「じゃ、じゃあ・・・・。」

私が顔を上げたとき、カカシさんのどアップが・・・。

「あんまり待たせないで欲しかったな・・・・。」

そういい終わると私の唇にカカシさんのそれが触れた。









どうしていいか分からない私は・・・。









ひとまず目を閉じることにした。





























まだまだ新米ひよっこ上忍の私を待ち受けていたのは同じく上忍の方のチームに同行すること。

一応私も上忍だから小隊が2つ(1つは同行させて頂いてる上忍さんのチーム、1つは私の単独)で。

上忍と中忍のチームが主だったからそんなに危険な任務ではなかった。

今の私にはやる気がみなぎっております。

なぜなら中忍になったばかりのときから(中忍暦は異様に長い私)カカシさんに憧れて、

なんとか名前を覚えてもらって、それからはもう必死。

アタックしてアタックしてアタックして・・・。

そんな私に出された条件が『上忍になること』。

そしてなれたのです。

上忍に。

そして付き合えたのです。

カカシさんと。

やる気、みなぎるでしょ。

恋する乙女は強いのです。

(たまに空回りしてるけど・・・・ね。)










カカシさんは下忍と班を組んでいるため任務は日帰りが多い。

帰りの遅い私をいつも待っていてくれる。

ちょっと強引だったかなぁ・・・と思ってたけど、

どんなに遅くても待っていてくれるカカシさんを見ると、

私って大切にしてもらえてる♪と実感します。

だから、私は早く帰りたいのです。





やる気、みなぎらせております。





恋する乙女パワー炸裂です。
























そんな私に突然舞い落ちた任務。

それは上忍だけの任務。

しかも、同行する上忍はアスマさん、ガイさん、そして・・・・カカシさん。

何かと『里1番の・・・』の異名を持っていらっしゃる方々。

私はカカシさんと任務中も一緒にいられるのがうれしくて移動中、ずっと笑っていた。

、その笑いやめなさいね。」

「えー、カカシさんはうれしくないの?」

「うれしくないよ。」

カカシサンの冷たい言葉に私は撃沈。

「だって、上忍だけのチームってことは危険な任務ってことでしょ?

 いくら自分が同行しているからって守りきれる自信なんてないし。

 そんな危険な任務、彼女に行って欲しいワケないでしょ。」

はい、やる気みなぎりました。

「大丈夫です!こう見えても私、上忍なんですよ!私がカカシさんを守ります!」

私は胸をドン!と叩いて見せた。

「たくましいねぇ。」

アスマさんがククク・・・と笑った。

「その熱い心があればどんな困難も乗り越えられるぞ!」

ガイさんの歯がまぶしいです。

「で?今回の任務内容は?」

カカシさんがアスマさんの吸っていたタバコを横取りして一服する。

タバコ吸うカカシさん、ステキです。

「あー・・・まだ読んでねぇや・・・。」

アスマさんはポーチから巻物を取り出した。

今回の任務の伝達は巻物によって伝えられた。

火影様も多忙な身。

最近は忍び不足もあってこういう伝えられ方をすることが多々ある。

「あー・・・ナニナニ?あー・・・・・。」

巻物を読み終わったアスマさんは困惑した顔をして巻物をカカシさんに渡した。

「・・・・・・。」

カカシさんの顔が厳しくなる。

「どうしたんですか?」

「・・・・・・・・・今までの任務で・・・・人、殺したことある?」

「・・・・え?」

突然の質問に言葉を失う。

「暗殺か?」

ガイさんが聞く。

「いや・・・抜け人狩りだ。」

「やっかいだな・・・・。暗部はどうした?」

「人手が足りないのが実状ってやつだな・・・・。」

私とカカシさんの隣でアスマさんとガイさんが話している。

「・・・・できる?」

カカシさんの真剣な眼。

これが任務に就くときのカカシさんの目。

「・・・・。」

私の視線は宙を泳ぐ。

「任務だ。」

「・・・・・はい。」

私はキュッ・・・と手を握り締める。





























巻物に記された場所は木の葉の里から1日走った距離だった。

1晩野宿して、再び歩き始める。

徐々に近づく目的地。

次第に緊張が体を支配する。

「あれ・・・だな。」

アスマさんが崖の際まで歩き、目標の場所を確認した。

肉眼ではっきり見える小さな砦。

そこに抜け人が数名いる。

その抜け人を殺すのが・・・・・私の任務。

「ここから散るか。」

アスマさんがタバコを捨てて足で踏み消した。

「そうだな。別行動の方が動きやすい。」

ガイさんが頷く。

「じゃ・・・ここから別行動。4方向から時間を合わせて奇襲しよう。」

アスマさんとガイさんが頷く。

「アスマは北、ガイは西、俺は東、はここから一番近い南から。

 奇襲は今から1時間後。

 狙いは抜け人組織の壊滅。」

カカシサンの言葉に頷いた二人は姿を消した。

私は・・・・。

「・・・・?」

「あっ・・・・!ごめんなさい、南ですね。」

慌てて走ろうとする私にカカシさんが私の手を掴んだ。

「手が震えている。」

「・・・・・ごめんなさい・・・・。」

「謝ることじゃないよ・・・。誰だって最初は怖い。」

「・・・・カカシさんも・・・?」

「俺だって最初は怖かった。だけど・・・・もう・・・慣れ・・・かな。」

「・・・・私も・・・・慣れるんでしょうか・・・・。」

「・・・・・・どうだろうね・・・・。なんせ、13回も試験に落ちてるし。」

「その話は別ですってば。」

私がプゥと膨れるとカカシさんが微笑んだ。

「緊張、解けた?」

「・・・・少し。」

「時間ないから・・・・・もう行くよ?」

「・・・はい・・・・。」

「気をつけて。何かあったらすぐに逃げろ。生きていてくれればそれでいいから。」

「でも・・・・。」

「後は俺達がやる。きつい言い方かもしれないけど・・・素人に何も期待していない。」

カカシサンの言葉が胸に突き刺さる。

「今回の動向は場馴れのためだ。だから、は危険だと思ったらすぐに逃げろ。いいな。」

「・・・・はい。」

・・・・・。」

カカシさんの手が私のアゴを掴み、上を向いたときには唇がふさがれていた。

いつもの優しいキスではなく、熱い激しい・・・キス。

「続きは・・・・帰ってから・・・ね?」

顔を真っ赤にしている私に手を振ってカカシさんは姿を消した。

気付けば私の体から緊張は消えていた。







続きは帰ってから・・・・。







はい、カカシさん。

絶対帰ります。







私は額当てを結びなおした。



























気配に消しながら砦に近づく。

息を殺し、あたりを見渡す。

ここまではいつもの任務と同じ。

違うのは・・・・人を殺すこと。

しかも、同じ木の葉の里の忍びだった人たち。

使用する忍術も同系統が多いことは予想される。










私にできることは・・・?








考えがまとまらないうちに遠くで爆発音が鳴り響いた。

大勢の声が聞こえる。







いけない!出遅れた!






私は慌てて砦に突っ込んで行く。


































やっぱり無理だ。












それが最初の感想。










いくら任務だとしても、私に人は殺せない。

もっとも、私は人を傷つけるのが苦手なんだった。

まぁ、今更そんなこと言ったって無駄だけど。

人を殺すことができない私は逃げ回っているのが精一杯。












捉まったら殺される。









だけど、人を殺すこともできない。











なんて中途半端な私。









!」

呼ばれた先にはカカシさんがいた。

「カカシさん!」

私は涙眼になつていたと思う。

「ふせろ!」

カカシさんの言葉に反応して体が勝手にしゃがむ。

と、同時に頭上を何かが飛び越えた。

「うぎゃぁぁぁぁぁ!」

聞こえたのは断末魔。

振り返ると、そこにはカカシさんの背中がある。

「こいつは・・・!」

私を追ってきた敵がカカシさんの顔を見て後ずさったのが分かった。

「悪いが、俺の彼女を泣かしたら・・・・死ぬよ?」

カカシさんの言葉。

「・・・・動けるか?」

「は、はい!」

「じゃ、は陽動に回ってくれ。とどめは俺がやる。」

「・・・・・すいません。」

「言ったでしょ?慣れ・・・だって。」

顔は見えなかったけど・・・・。

声だけで分かる。

きっと今・・・・カカシさんは悲しいんだ。

誰だって人を殺すことに慣れたくない。

だけど、それが任務。

次第に心が麻痺しちゃっていくんだ。

それが・・・・上忍。

「行くぞ!」

「はい!」

カカシさんの合図と共に相手を翻弄させる。

カカシさんがそばにいる・・・・。

そう思うだけで心強い。

さっきまでの私とはまったく違う。















そして・・・・敵はいなくなった。

「・・・・終わりましたね。」

辺りを見れば屍。

その全てをカカシさん一人で・・・。

「いや、まだだ。」

「え?」

「この抜け人の組織には女もいたはずだ。」

「・・・・・・。」

「任務の内容は・・・・組織の壊滅。抜け人狩りだ。」

カカシさんは砦の中央部へと向かう。

私も慌ててついて行った。

























「これは・・・・。」

大きな部屋の中には・・・・数人の女性が自害していた・・・・。

「大方、俺たちが攻めてきて助からないことが分かって自害・・・したんだろう。」

横たわっている女性の生死を確認しているカカシさん。

私は・・・・。

泣いていた。

だって・・・・。

こんなにも沢山の人の死に直面したのは初めてだったし・・・。

自害した女性の中には・・・・お腹の大きな人も・・・。

「・・・・・どうして・・・・。」

誰に・・・というワケでもなく呟く。

「・・・・どうして死ななきゃいけないの・・・・?

 里を捨てただけじゃない・・・・・。」

「・・・・忍びだったから・・・かな。」

気付けばカカシさんが目の前にいた。

「忍びの体には生まれたときにはないけど、

 修行をするうちに一般の人間とは違ってくる。

 その秘密を他の里にもらさないために・・・・『狩る』必要があるんだよ・・・。」

「だからって!妊婦さんまで・・・・!」

涙が溢れる。

「・・・ぅ・・・・。」

私とカカシさん以外の誰かの声。

振り返ればさっきの妊婦さんが苦しそうに胸を押さえている。

「大丈夫ですか?!」

「・・・・来ない・・・で・・・・・。」

駆け寄ろうとした私を妊婦さんはにらんでいる。

「い、今ならまだ助かりますから!お腹の赤ちゃんも・・・・!」

「いいの・・・・死なせて・・・・。」

女性は愛しそうにお腹をさすった。

「あの人はここで眠る・・・。

 だから・・・・私も・・・・ここで・・・・眠るの・・・・。」

「でも、赤ちゃんは・・・・!」

「・・・この子には・・・・悪いことをしたわ・・・・。

 でも・・・・私たちから・・・・取り上げないで・・・・・。」

「でも・・・・!」

。」

なんとか説得しようとしている私の肩をカカシさんが掴んだ。

「・・・・いいんだな?」

カカシさんの言葉に女性は微笑んだ。

そしてカカシさんが取り出したのは・・・・クナイ。

「カカシさん!」

カカシさんの行動を予測して止めに入る。

「邪魔するな!」

初めて怒鳴られた。

「・・・・俺たちは命を奪うが、礼儀は忘れていない。

 彼女がここで死にたいと言うなら、そうしてやるのが・・・・礼儀だ。

 彼女の覚悟を・・・・踏みにじるな。」

私は戸惑い、彼女を見る。

「心配してくれてありがと・・・・。

 だけど・・・・私は・・・・幸せだったし・・・・今も幸せよ・・・・。」

その言葉と笑顔に・・・・私はもう邪魔できない。

「・・・・お前の相手は・・・どんな奴だ?」

「・・・・紅い髪の・・・・右腕に・・・・傷が・・・・。」

「分かった。一緒に・・・・眠れ・・・・。」

カカシさんが言うと、彼女は幸せそうに微笑んだ。

動き出すカカシさん。







1歩。







1歩。









彼女に近づく。










「・・・・待って。」











呼び止める私。













「・・・・私が・・・・やります・・・・。」

「・・・一度手を血に染めれば抜け出られない。

 汚れのないの手を汚すことなんてないよ・・・・。」

「それでも・・・・それが上忍として・・・相手への礼儀だと言うなら・・・。」

「そう思っているのは俺だけかもしれないけど?」

「それでも・・・カカシさんの手を汚すぐらいなら・・・。

 私がやります。」

私はカカシさんを追い越し、彼女の傍らに座った。

「ごめんなさい・・・・。」

「何を・・・謝るの?

 あなたは任務を全うしようとしてるだけ・・・・。

 抜け人の私たちがこうなることは・・・・・分かっていたことだわ。」

「・・・でも・・・・・。」

「あなたは・・・・優しいのね。」

彼女の伸ばした手が私の頬に触れた。

「泣いてくれて・・・・ありがとう。」

頬を流れる涙。
















私は何に泣いているの?











目の前の彼女が可哀想だから?











これから人を殺すから?











自分の手を血で染めるから?










上忍というものがどれほどのものなのか分かったから?











それとも・・・・自分の・・・覚悟のなさに?



















きっと・・・・。
















全部だ・・・・。


















背後からカカシさんの腕が伸びてきた。

「苦しみを与えないように・・・・心臓を狙え。」

頷くことしかできない。

「大丈夫。俺が補佐するから・・・・俺がいるから。」

溢れる涙で前が見えない。

「全身の力で・・・・突け!!」

同時に感じる鈍い衝撃。










カカシさんのサポートのお陰で・・・・彼女は苦しまずに逝った・・・・。








「・・・・・よくやったね・・・・。」







・・・うん。








「よく頑張った・・・・・。」









・・・・うん。









「よく覚悟したよ・・・・。」









・・・・覚悟・・・・。











上忍となった私に足りなかったモノ。










「もう・・・立派な上忍だね。」











私は・・・たった今手に入れた。




























泣きじゃくった私が落ち着いたのを見て、カカシさんは彼女を抱き上げ、外に出た。

キョロキョロして何かを見つけると、そこへ彼女を寝かした。

紅い髪の腕に傷跡がある男。

二人の手を彼女のお腹の上で握らせる。







これが・・・・カカシさんのいう礼儀なんだね・・・・。








傲慢なお願いかもしれないけど・・・。









天国で家族3人で幸せになって・・・・。


























里に戻った私たちは休暇をもらった。

いつもなら休暇となったら真っ先にカカシさんの許へ飛んでいくのに・・・。

今日はそんな気力がない。












私は上忍としての覚悟を知った。

どんなときも冷静に状況を判断し、的確に行動して、任務を遂行させる。

口で言うのはとっても簡単。

だけど、それがこんなにも難しいなんて・・・・。

上忍を続けていく自信がなくなりつつあった。









あんなになりたかった上忍。








だけど・・・。








今の私には分からない。








カカシさんと付き合いたいために上忍になった。








なんて浅はかだったんだろう。



カカシさんやガイさん、アスマさん・・・。

ううん、里の上忍と言われている人たち。

みんなに・・・申し訳が無かった。










単純なモノじゃないんだね・・・。























「言ったでしょ?慣れ・・・だって。」
























カカシさんの言葉。


















悲しそうな声で言った言葉。
















きっとカカシさんだって人を殺すなんてしたくない。






だけど、任務だから・・・。











忍びだから・・・・。


















心を殺し、命の灯を・・・消す。



















そのうち心が麻痺しちゃって・・・・。










『慣れ』ちゃったんだ・・・・。
















私はいつものようにカカシさんを探していつもの丘に来ていた。

そして、いつものように読書をしているカカシさん。

あんなことがあったなんて思わせないような・・・・。

1歩踏み出す。









「・・・・もう来ないかと思った。」

不意に本を閉じたカカシさん。

「・・・・来ちゃいました。」

「・・・・うん。」

私はカカシさんの隣に座る。

風が気持ちいい。

「・・・・私・・・・。」

心に思った言葉を連ねる。

「初めて人を殺しました・・・・。

 それはとても怖くて・・・・今でもその時の感触が残ってるんです。」

話し続ける私の言葉を黙って聞いてくれるカカシさん。

「家に帰っていくら手を洗っても・・・・血がついているようで・・・。」

「・・・・上忍、やめる?」

カカシさんの感情の無い声。

「今ならまだ間に合う。

 このまま上忍を続けていけば、今回のような任務が幾度と無く依頼される。

 たった1回の殺しでそんなにまいってるのなら・・・・。」

「いえ、辞めません。」

はっきりした声で言う。

「今回のことで自分の未熟さを知りました。

 ショックも受けました。

 だけど・・・。

 私、やっぱり里が好きです。

 私とは無関係な人だとしても・・・・。

 里のために私は忍びを続けたい。

 私が誰かを殺すことで、それが里の為になるのなら・・・。

 カカシさんも同じでしょ?」

「・・・・うん。」

「私がこれで上忍をやめたら・・・。

 他の上忍の人たちに失礼だと思うんですよ。」

「・・・・・うん。」

「それに・・・・私が任務をこなすことで・・・。

 カカシさんへの任務が1回でも減ってくれれば・・・・。

 ・・って、カカシさんのような上忍の方に失礼かもしれないけど・・・。」

私はヘヘ・・・っと笑ってみせた。

だけど、カカシさんは笑っていない。

・・・・怒った?

「ありがとう・・・。」

「へ?」

のような人がいてくれると・・・・。

 殺人マシンではなく、人間なんだって・・・・実感できるよ。

 のような人がいるから・・・。

 心を麻痺させなくて済む・・・・。

 がいてくれるから・・・。」

カカシさんの腕が伸びてきた。

「生き抜こうって思える・・・。」

私を抱きしめた。















あぁ・・・・。













カカシさんも・・・・。














怖いんだ・・・・。














人を殺し続けることで『人』ではなくなることが・・・。













「カカシさんの心の『スイッチ』が壊れそうになったら・・・。

 私が直してあげますよ。」

「お願いね・・・・。」

「そのかわり・・・・。」

「うん?」

「私の『スイッチ』が壊れたら・・・・直してください・・・。」

「分かった。」

そっと唇を合わせた。

















上忍。















それは何事にも『覚悟』する忍び。














『覚悟』するたびに何かを失う『覚悟』をする忍び。














そんな忍びが里には必要で・・・。















カカシさんも『覚悟』をしていて・・・。















私も『覚悟』することを知った。















まだまだ新米上忍だけど。


















カカシさんのそばで『覚悟』することを知りたい。
















カカシさんと一緒なら私は『人』でいられる。
















私は『覚悟』する。










キリリク800Hitの明星様のリクエスト。
リクエスト内容は「忍の先輩がカカシさんで良く話しかけてくれるけど色々不安な事があるヒロイン」。
しかし・・・。
なぜか内容は重いものに・・・。
明星様、ごめんなさい・・・。
しかも、内容がめちゃくちゃ・・・。
本当にごめんなさい・・・。
私としては『人を殺す覚悟、さらにそれを乗り越えていく覚悟』というのを書きたかった・・・。