ねえ
私はこのままでもいいよ
あなたと一緒にいられれば
それだけで 十分 幸せなの
だから 私を捨てないで
秘密の約束
夜9時。
アカデミーの事務室。
は報告書の整理をしていた。
「・・・おつかれ様です。」
机にコーヒーの入ったカップが置かれた。
「あ、ハヤテさん。ありがとうございます。」
「・・・気になさらずに・・・。」
は微笑み、ハヤテはコホッ・・と咳をした。
「・・・どうです?今日中に片付きそうですか?」
「んー・・・大分片付いてはいるんですけど・・・。」
「私もお手伝いいたしましょうか?」
「大丈夫ですよ。」
「でも・・・・。」
ハヤテは窓の外を見た。
外はもう暗く、綺麗な月が姿を見せている。
「ハヤテさんも任務のあとで疲れてるんだし。
早く帰って疲れを癒してください。」
「それはさんも同じですよ。
ましてや上忍なのですから・・・。
まぁ、私はさんといられればそれだけでいいんですけどね。」
ずっとさんと一緒にいられればそれだけで幸せなんですよ。
ハヤテは極上の笑顔をに見せた。
「私の隣にいても疲れは癒えませんよ。」
・・・には通じていない。
「ー、いるかー。」
「ゲンマさん。ここにいますよ。」
突然、部屋にゲンマが現れた。
「わりぃ。ちょっとやっちまった。」
「うわっ・・・!!どうしたんですか!」
ゲンマの持ち上げた腕にはざっくりと傷があり、血が流れている。
「任務の帰りだったんだけどよ。」
「早く止血しないと・・・!!」
がバタバタしている。
は完ぺきとまではいかまくても、医療忍術を心得ている。
「全部は直しきれません。後でちゃんと病院行ってくださいね?」
「あぁ。悪いな。」
ゲンマが頷くと、は手にチャクラを集中させ始めた。
「・・・・今の時間なら病院、ガラガラに空いてますよ。」
「ここが一番近かったんだよ。」
「私の記憶が正しければ門とアカデミーの間に病院があったと思いますが?」
ハヤテの目が光る。
「・・・・お前の記憶違いじゃねーか?」
ゲンマの目も光る。
二人の視線がぶつかった所から火花がチリチリと鳴っている。
「・・ふぅ・・・終わりました。」
は集中してて会話を聞いてなかったようだ。
「ありがとな。」
「いえ、私は応急処置をしただけですから。」
「いや、もう十分だ。」
腕の傷は完ぺきとまではいかなくてもちゃんと治っていた。
「このまま俺専属の看護婦にでもならないか?」
俺が傷を治してほしいのは、だけだぜ。
ゲンマが極上の笑顔で言った。
「私なんかよりちゃんとした看護婦さんたちのほうがちゃんと傷直せますよ。」
・・・には通じていない。
ハヤテが楽しそうに微笑んでいる。
「あれ?まだいらっしゃったんですか?」
イルカが顔を見せた。
「もう誰もいないと思っていたんですが・・・。」
「あ、すいません。まだ・・・・。」
の向けた視線の先には山積みになった報告書。
「もしかして・・・・イルカ先生が鍵当番・・・?」
「あ、はい。あ、でもいいですよ。待ってますから。」
もしかしたら、この後一緒に夕飯でも・・・。
イルカが極上の笑顔をに向けた。
・・・・が、の両隣で鬼の如く殺気を向けてる二人に気付き、
その笑顔はに届かずに終わった。
「あ、。残りの仕事、イルカにやってもらえよ。」
「それは名案です。」
「え、それはいけません。イルカ先生にも仕事は残って・・・。」
「残ってないよな?」
「残ってないですよね?」
の言葉を打ち切って二人は同時にイルカに聞き、イルカは泣く泣く頷いた。
「よかったんでしょうか・・・。」
残りの仕事をイルカが喜んで(?)引き受けてくれたお陰で、
は帰ることができた。
「いいんだって。」
「鍵当番のイルカさんなら何も気にせず残ってられますからね・・・。」
の両隣でゲンマとハヤテが笑った。
「あれ?ちゃんじゃないの。」
「あ、カカシさん。」
「のねーちゃん!!」
「こんばんわ。さん。」
視線の先にはカカシ、ナルト、サクラがいた。
カカシは問答無用で解散させた。
「えー、もっとのねーちゃんと一緒にいたいってばよ。」
ナルトはごねたが、
「ばかね、カカシ先生の顔を見なさいよ!」
と、サクラに言われカカシを見上げれば、
カカシの背後に鬼がいた・・・。
「任務、終わったんですか?」
「ま、本当はもっと早く終わらせてちゃんを夕飯に誘う予定だったんだけどね。」
そのまま楽しい夜を迎えたいんだけど、ね。
カカシが極上の笑顔をに向けた。
「あ、今からみんなで行きませんか?私もお腹すいちゃって・・・。」
・・・・・には通じてなかった。
はいつもみんなで行く居酒屋に行こうと提案したが、
それを3人は拒否した。
これ以上敵が増えては困る。
結局4人はいつもとは違う店に入った。
・・・・が、それが悪かった。
「おぉ!!」
ガイがいた。
「あ、お疲れ様です。ガイ先生。」
が微笑んだ。
「これから夕食か?なら、一緒にどうだ?もちろん俺のおごりだ!」
男らしさを見せなくてはな!
ガイの歯がこれ以上ないくらいに光った。
「いえ、そんな・・・。」
「よーし、ここはガイのおごりってことで。」
「いただきます。」
「、こっちに座れよ。」
には通ぜず、代わりにカカシ、ハヤテ、ゲンマが顔を出した。
上忍、特別上忍が4人。
しかも、誰もがを狙っている。
そんな中、争いが発生しないはずは、ない。
「はい、ガイの負け。」
「一気にいっちまってくださいね。」
「おかわりはいくらでもありますから。」
「・・・ぬおぉぉぉぉっ!!!!」
3人にはやし立てられ、ガイは日本酒を一気飲みする。
「・・・っぷはっ!!どぉぉぉだぁぁぁっ!!!!」
ガイの顔は真っ赤だった。
3人はこの中で一番酒に弱いガイから潰そうと思っていたのだ。
ゲームでガイを負けさせ酒を飲ませる。
が、ガイもその魂胆が分かっていた。
だが、ゲームとはいえ、勝負の世界。
負けは負けで、罰を受けなくては気がすまないのがガイの性分。
意識が朦朧としている中、必死に意識を保っていた。
すでにめくみはその場から姿を消していることに気付かずに・・・。
「・・・さむ・・・・。」
吐く息が白い。
誰もいない街から離れた小さな丘。
街の明かりが遠くでチカチカと光っている。
「・・・・まだ・・・かな。」
小さく呟いた。
時計を見れば11時半。
ふいに背後に気配を感じた。
大好きな気配。
「おっそいよ。」
頬を膨らませて振り返った。
「わりぃ・・・めんどくせーことに巻き込まれてな。」
シカマルが頭をかいた。
任務の後らしく、体中が汚れていた。
「ここ、汚れてる。」
バッグからハンカチを取り出し、シカマルの頬を拭こうと手を伸ばす。
が、その手はシカマルに掴まれる。
「・・・・酒くせぇ。」
「あぁ・・・さっきまでカカシさんたちと飲んでたから。」
も酔っているのか、頬をほんのり紅くしている。
「・・・たく・・・お前は酒弱ぇんだから・・・・。」
呟きながら、の体を引き寄せる。
「大丈夫。一緒にいたのはカカシさんとハヤテさんとゲンマさんとガイ先生だから。」
「・・・・・めんどくせぇ・・・。」
その面子が一番危険なんだよ!
シカマルはの髪に鼻を埋めた。
「・・・・何も・・・されなかったか?」
「されるわけないでしょ?」
「・・・・どーだかなー・・・。」
「それとも、されたほうがよかった?」
「バッ・・・・!!!」
慌てて体を離し、の顔を見下ろす。
「嘘よ。」
が笑っている。
「・・・・たく・・・めんどくせー・・・・。」
再びを抱き寄せた。
「ごめんな・・・・。」
「何が?」
「・・・・早く・・・追いつくからよ・・・・。」
「・・・・私は気にしないけどな・・・。」
「・・・・ごめんな・・・。」
白い肌。
長くて綺麗な髪。
大きくて表情豊かな目。
誰にでも気さくに仲良くなれる性格。
里の誰もがを狙っているのは分かっている。
しかも、里で有名な忍(カカシ、ゲンマ、ハヤテ、ガイ)が狙っている。
告白したのは、シカマルからだった。
同じチームを組んでからよく話すようになり・・・。
本当は告白なんかするつもりは無かった。
が、つい、二人だけのときに、口から出てしまったのだ。
は顔を赤らめて頷いてくれた。
晴れて二人が付き合い始めたのは3ヶ月前。
だが・・・。
シカマルと。
中忍と上忍。
16歳と23歳。
まだガキと言われれば、ガキだ。
しかもまだ忍としても中忍レベル。
きっと・・・誰もが不釣合い・・・つーんだろぉな・・・。
腕の中に感じるの体をぎゅっと抱きしめる。
だから、シカマルはに二人が付き合ってることを秘密にしてほしいと言った。
も、シカマルの考えてることを理解し、頷いた。
「それを守るだけでシカマルと一緒にいられるなら・・・。」
「悪ぃな・・・いつか・・・ちゃんとするからよ・・・。」
「うん・・・待ってる。」
そのときのの笑顔が、今までのシカマルを支えてきた。
しかし、ちょっと離れている間に、
カカシたちがにちょっかい出したと聞くと、シカマルは嫉妬した。
がどんなに難しい任務も成功させたと聞くと、シカマルは焦った。
自分はまだ未熟なんだと、思い知らされる。
を、飢えた目で狙っている奴らから守りたい。
部下としてじゃなく、と肩を並べて一緒に任務に行きたい。
その思いは強くなる一方だった。
こんな俺で・・・・いいのか?
本当は、カカシとかの方が・・・を守ってくれるかもしれないんだぜ?
「私、シカマルと一緒にいれて幸せだよ。」
「・・・え?」
「みんなに公言できなくても、こうして二人で会える時間がある。
堂々と手をつなげなくても、こうやって抱きしめてくれる。
それだけで、幸せだよ。」
まいった・・・・。
完敗だぜ・・・。
「あぁ・・・そうだな。」
「時間はいくらでもあるんだから。」
「あぁ。めんどくせーけど、ゆっくり・・・頑張らせてもらうわ。」
唇が重なった。

はい、シカマルでした。
お年玉企画のゆう様からのリクエスト『逆ハーシカマル落ち』とのことでした。
逆ハー・・・。
なんておいしすぎる夢なんでしょう♪
と、思って頑張らせていただきました。
ゆう様!リクエストに添えているでしょうか・・・?
ダメだしオッケーです・・・はい・・・。
ゆう様のみお持ち帰りオッケーです。
BGMはお地峡見の丘より。様よりお借りしました。